ドル122円台、それでも来週はやっぱり円安か
「黒田ショック」で一気に約2円の円高に
[東京 10日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点に比べ、大幅ドル安/円高の122円後半。黒田日銀総裁による円安けん制的な一連の発言を受け、ドルは約2円の幅で急落し、一時2週間ぶり安値となる122.50円を付けた。
黒田日銀総裁は10日、実質実効為替レートでみて、かなり円安になっているのは事実、との認識を示したうえで「実質実効為替レートがさらに円安になるのは、普通に考えればありそうにない」とした。
また「これまで円安が経済にプラスだったから、さらなる円安でさらにプラスということではない」と発言した。
アベノミクス下の円安局面で、実質的な「口先介入第一弾」(証券会社)と同総裁の発言を挟んでドルは急落。発言直前の124円半ばから122.50円まで下値を伸ばし、約2円の円高となった。
黒田ショックと市場の見通し
「黒田ショック」とも呼べる明確な円安けん制を受け、この日はドル安/円高が進んだが、中長期的なドル高傾向が変化するとみる向きは依然少ない。
黒田総裁の発言については「(ドル/円は)13年ぶりの高値で調整のきっかけ待ちだったところもあろうが、インパクトがあった」(国内証券)との声が出ていた。
ただ「ドルが120円から125円まで上がったのは日銀の材料ではない。来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で米国の利上げ期待が膨らめば、ドルは再び持ち上がってくるのではないか」(同)という。
「日銀の黒田総裁の一連の発言については、足もとで円安ピッチが速すぎることに対するけん制が主目的だとみている。水準自体より、スピードに対して水を差すために発せられたと理解している」と三井住友銀行チーフストラテジスト、宇野大介氏は言う。
ただ、日米欧3極で見れば、量的緩和の出口に最も近い米国と最も遠い日本という構図に変化はないことから、基本的なドル高の流れは変わらないだろう、と同氏は述べたうえで、125円を軸として上下10円の変動を想定すれば、135円に到達する蓋然性が115円に達する蓋然性よりも現時点では高いとした。
豪中銀総裁発言
豪ドルは0.7730米ドル付近。
スティーブンス豪中銀総裁の「追加緩和の可能性にオープン」などとする発言が伝わり、0.7680付近を推移していた豪ドルは弱含んだが、午後に入って米ドルが対円で下落したことなどの影響で0.7749米ドルまで豪ドルが上昇した。
スティーブンス総裁は、「豪ドルは一段安が必要、多くの国が自国通貨安を望んでいる」などとも語った。
4月機械受注は予想外に増加
朝方、内閣府が4月機械受注統計を発表したが、相場の反応は限定的だった。
設備投資の先行指標である船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)は、前月比3.8%増の9025億円で2カ月連続の増加となった。ロイターの事前予測調査では2.0%減と予想されており、これを上回った。
(為替マーケットチーム)