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 東京23区の中小企業などがつくる東京商工会議所(三村明夫会頭)は10日、会員企業などの個人情報が延べ約1万2千人分、流出した可能性があると発表した。事務局員が使うパソコンが、添付ファイルなどを開いてウイルスに感染させる「標的型メール」を送られたことが原因という。今のところ、被害の連絡などはない、としている。

 東商によると、流出した情報は東商主催のセミナーの参加者名簿など延べ1万2139人分で、重複もあり、会員企業以外も含まれる。氏名や住所、電話番号、メールアドレス、会社名の一部、もしくはすべてが流出した可能性がある。

 流出の可能性がある会員らには10日にメールなどで連絡をとった。「銀行口座やクレジットカード番号などの情報は、含まれていない」としている。

 現時点でウイルスへの感染がわかっているのは東商の国際部で使っていたノートパソコン1台。5月に入って外部調査機関から「不審な信号が出ている」といった指摘があり調べたところ、5月22日に感染がわかった。流出の可能性がある情報は別のサーバー内のファイルにあり、アクセスは感染したパソコンを含め一部に制限されていたが、ファイルにパスワード設定はしていなかったという。

 東商の高野秀夫常務理事は10日午前の会見で「多くの方々にご迷惑とご心配をおかけした。セキュリティー対策が不足していたと言わざるをえず、深くおわび申し上げる」と陳謝した。警視庁にも相談しておりさらに詳しい経緯などを調べる。

 東商は中小企業の経営支援や政策提言などの活動を展開している。会員数は約7万7700社。中小企業が多い。