不在の中国とロシアが会議の主役のようである。
先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)は、力による「現状変更の試み」を非難する首脳宣言を採択して、ドイツ・エルマウでの2日間の討議を終えた。
安倍晋三首相は閉幕後の記者会見で、中ロを念頭に「強い者が弱い者を振り回すことは、ヨーロッパでもアジアでも、世界のどこでも認めることはできない」と述べた。
G7は自由と民主主義、法の支配を尊重する国の集まりだ。結束してみせたのは当然だし、意味もある。
首脳宣言は中国の海洋進出について、昨年同様に名指しこそ避けたものの、「大規模な埋め立て」を含めた「いかなる一方的行動にも強く反対」と、より強い表現で非難した。
ロシアに対してはウクライナ南部クリミア半島編入を、「違法な併合」とあらためて指摘した。
問題は、実効性に疑問符が付きまとっていることだ。ことしは特にその印象が強い。
中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)への対応で、連携の確認にとどまったのが象徴的である。
日米とカナダが参加を見送ったのに対して、英国、ドイツ、フランス、イタリアの4カ国は創設メンバーに名前を連ねた。足並みの乱れは明らかだ。
対ロシアでもG7内部には温度差がある。米国はウクライナ政府に肩入れし、親ロシア派を支援するロシアと「代理戦争」の様相を呈する。
しかし、議長国ドイツのメルケル首相は先月モスクワを訪問し、プーチン大統領と会談したばかりだ。安倍首相にしても北方領土交渉を抱え、対決一辺倒ではない。
G7が南シナ海問題を取り上げたことに、中国外務省の洪磊副報道局長は「他国に干渉する権利はない」と相変わらず高飛車だ。
主要国(G8)首脳会議から排除されたロシアは多国間外交の軸足を、新興5カ国(BRICS)や20カ国・地域(G20)に移す戦略である。
「現状変更の試み」に対する有効な回答を示せなければ、G7の存在感はさらに薄れる。ここが連携の正念場と心得るべきだ。
宣言は温室効果ガスの削減幅で基準となる年を明記した。一歩踏み込んだことは評価したい。
日本は来年の議長国を務める。自国の利益だけに固執しない。そんな姿勢を率先して示すために、地球温暖化対策ほどふさわしいテーマはなかろう。
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