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【ビジネス解読】
ウォン高・韓国にジワリ迫る「輸出氷河期」 23万人雇用消失も…輸出依存のツケ重く
韓国経済に異変が起きている。今年に入り景気を牽引(けんいん)する輸出の月次実績の前年割れにいっこうに歯止めがかからない。今月公表された5月実績は、ついに前年同月比10.9%減の423億9200万ドルと、リーマン・ショックによる金融危機当時の2009年8月(20.9%)以来、最大となる約6年ぶりの減少幅を記録した。
「売ってももうからない」
1~5月の輸出総額は前年同期比で132億7800万ドルも減少。中央日報(電子版)が提供する韓国経済新聞の報道によると、この傾向が続けば輸出額は年間で319億2000万ドル減少する計算。韓国貿易協会は輸出による雇用増効果を100万ドル当たり7.2人と推計しているといい、これを当てはめると年間で23万人分もの雇用が消し飛ぶ状況だ。
「製品は好調に売れて市場シェアも高まっているのに、売上高も利益も前年より大幅に減ってしまう」。韓国を代表する輸出企業の現代自動車では、こんなきつねにつままれたような事態も起こっている。現代自のブラジルでの4月の販売シェアは1992年の進出後、最高となる約8.7%を記録した。現地生産する小型ハッチバックの「HB20」の売れ行きが堅調に推移し、景気低迷で市場全体の需要が減る中でも同社は1~3月期に前年並みの販売を維持。HB20の高級モデルに限れば前年より10%以上も販売を伸ばしたという。しかし、同社の1~3月期決算は売上高が前年同期比で3.3%減、営業利益は18%減と苦戦。好調だったはずのブラジル販売の売上高(ウォン建て)も11.2%減と落ち込んだ。