マネーな人々 今週の銭格言
【選者】政治経済学者 植草一秀氏
定数480に対して自民は294、公明を合わせて325議席を確保し、圧勝した今回の衆院選。市場は金融緩和推進、金利低下、円安・株高の反応を示し、幸先のいいスタートを切ったかに見える。だが、そこには隠された盲点が存在する
◆好スタートを切った安倍自民。だが、最低得票率には“アベノミクス”の落とし穴が潜む
’12年12月16日に実施された第46回衆議院総選挙。結果は、事前のメディア予想どおりの自民党の圧勝となった。
前回の記事(http://nikkan-spa.jp/339051)で記述したように、金融市場は選挙前から安倍政権誕生を見越して、金融緩和強化=金利低下=円安・株高の反応を示してきた。さらに、自民党は「国土強靭化」の名目の下、今後10年で200兆円の公共事業追加を提案してきたため、財政金融政策総動員の期待感も強まっている。
選挙の結果、自公両党は衆議院定数の3分の2以上の議席を確保。このことから、政権基盤が強固であるとの見方が生じ、経済の先行きに楽観論が芽生え始めている。
新政権に対しては“ご祝儀”の意味合いが加味されるため、発足当初は政権支持率も高く出やすいだろう。第二安倍丸の船出は、順風満帆に見える。
ところが、今回選挙結果を詳細に分析すると、かなり異なる姿が浮かび上がってくる。294という議席数とはイメージがかけ離れた自民党得票数が確認されるのだ。
比例代表選挙での自民党得票数は1635万票だった。第一党を勝ち取った政党としては、小選挙区制度が採用された’96年以降、最も少ない得票数である。得票率で考えると、27.7%という最低値となるのだ。
※【グラフ】はコチラ⇒ http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=358824