年金情報流出:機構理事会に報告せず 危機意識低く

毎日新聞 2015年06月09日 12時56分

 日本年金機構の加入者情報流出問題で、機構の水島藤一郎理事長は9日、パソコンのウイルス感染が確認された5月8日の2週間後の5月22日にあった理事会に報告していなかったことを明らかにした。理事会は機構の意思決定機関。参院厚生労働委員会で述べた。

 水島理事長によると、理事会は毎月1回定例で開かれる。5月22日の理事会は給与規定に関する議案などが話し合われた。

 機構は5月8日に九州ブロック本部(福岡市)のパソコンのウイルス感染を確認し、18日には117通のウイルスメールを受信。19日に警視庁に届けた。しかし、理事会には報告しなかったという。水島理事長は8日に報告を受けていた。

 水島理事長は「情報漏えいが確認されておらず、感染の正確な状況が分かっていなかった」と釈明した。機構の業務を監査する監事への報告は5月29日だった。【野倉恵、林田七恵、松本惇】

 ◇変更届436件

 機構によると、ウイルス感染が確認された5月8日から問題を公表した6月1日までに、住所や銀行口座の変更届が436件出されている。機構は住民基本台帳ネットワークと照合して届け出が正しいかを確認し、それができない場合は戸別訪問をして届け出の内容を確かめる。

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