(2015年6月8日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
ギリシャの首都アテネの議会に掲げられたギリシャ国旗〔AFPBB News〕
テーブルには、今、2つの提案がある。1つは債権団からの提案、もう1つはギリシャからの提案だ。2つに共通していることは、どちらもギリシャ経済を修復しない、ということだ。双方はうわべを取り繕うことさえしていない。どちらの提案も、きっぱり拒絶されるべき代物だ。
欧州の実務家が長い交渉に入ると、常に、技術的な詳細に没頭してしまい、本質的に大きな構図を見ることができなくなる。
彼らは2016年のプライマリーバランス(債務の利払い前の基礎的財政収支)の黒字が国内総生産(GD)比1.5%であるべきか、それとも2%であるべきかという議論に何週間も費やしておきながら、一見、自分たちのさまざまな予想の誤差がプライマリーバランスのこの小さな差より何倍も大きいことに気づかないようだ。
経済外交を担う人々は事の本質、すなわち、ギリシャがユーロ圏内で存続し、いずれ繁栄できるようにするという協議のそもそもの目的を見失った。
2つの提案の問題点
それほど寛大ではない説明もある。彼らは単に、無関心なのかもしれない。一部の債権者は、何が起きようとも、今やっていることを継続することだけに関心を持っている。
こうした債権者は特に、ギリシャに対する融資が絶対に返済されないことを正式に認めることを拒む。彼らは自分たちがギリシャに関して自国の有権者をミスリードしたことを知っており、少なくとも自分が現職にとどまっているうちは、真実を暴かれたくないのだ。