大内奏、生田大介
2015年6月8日23時51分
1ドル=120円台まで進んだ円安を背景に、企業の設備投資が大きく伸びている。ただ、街の商店主らの間では、原材料などの輸入価格の高騰で、企業収益が減ったり、家計の消費意欲が冷えたりすることを懸念する声も目立ち始めた。
内閣府が8日発表した2015年1~3月期の国内総生産(GDP)の2次速報で、設備投資は前期(14年10~12月)と比べて2・7%増えた。5月公表の1次速報では0・4%増だったが、その後まとまった「法人企業統計」で設備投資が想定より増えていたため、上方修正された。
円安で好調な自動車関連向けの生産能力を上げた電気機械や、訪日外国人の増加でホテルの改修があったサービス業などで投資が伸びた。「これまで設備投資は回復が遅いと思われていたが、実際は緩やかに持ち直していたと評価できる」(大和総研エコノミストの長内智氏)という。
設備投資が引っ張るかたちで、1~3月期の実質GDPの伸びは1次速報の0・6%(年率2・4%)から、2次速報では1・0%(年率3・9%)に修正。
ただ、GDPの6割を占める個人消費は盛り上がりに欠けるままだ。2次速報は前期比0・4%増で、1次速報と同じだった。
一方、8日に発表された5月の「景気ウォッチャー調査」では、円安のデメリットを懸念する声が目立った。内閣府が全国の中小企業経営者など約2千人に景気の実感を聞いたところ、景気の現状を示す指数は前月より0・3ポイント下がり、53・3となった。指数が下がったのは6カ月ぶりだ。
指数は、株高や外国人観光客の増加を背景に、よしあしの目安となる「50」は4カ月連続で上回った。基調判断は「景気は緩やかな回復基調が続いている」で据え置かれた。
ただ「原材料や包装資材の値上げが止まらず、売り上げは前年並みだが、利益が減った」(南関東・食料品製造業)、「食料品の値上げが相次ぎ、年金生活者の暮らしは厳しい。地方の企業では賃金が上がらず、消費はなかなかよくならない」(中国・布地販売業)といった声が少なくなかった。(大内奏、生田大介)
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