[翁長知事訪米] 沖縄の問いに向き合え
( 6/9 付 )

 沖縄県の翁長雄志知事は米国を訪問し、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設に反対する「沖縄の民意」を訴えた。

 会談した米政府当局者らは、辺野古移設が普天間問題の「唯一の解決策」との姿勢を崩さなかった。翁長氏は「一歩一歩前進している」と、米側と直接議論できた意義を評価する。

 これに対して、菅義偉官房長官は「時間をかけて米国まで行き、辺野古移設は唯一の解決策だと認識して帰ってくるのではないか」と皮肉交じりに述べた。

 あまりに冷淡な対応だ。政府は辺野古移設について「地元の理解を得ながら進めていく」と言いながら、「唯一の解決策」を繰り返すばかりだ。

 5月に那覇市であった辺野古阻止の県民大会には、主催者発表で約3万5000人が参加した。

 なぜ沖縄が新たな基地負担を強いられなければならないのか、という県民の問いに政府は正面から向き合うべきだ。

 翁長氏は今回の訪米で、上下両院の8議員と会談した。共和党のマケイン上院軍事委員長は、翁長氏に対話の継続を呼びかけたが、辺野古移設を支持する姿勢は変わらなかった。

 現地メディアへの露出は高くなく、米世論の共感を得る、という狙いが実現できたとは言い難い。

 それでも、翁長氏が昨年12月の知事就任以来積み重ねてきた活動や発言は、移設反対への理解を広げてきている。

 反対派の地元経済人や有識者らで作る「辺野古基金」の共同代表に、アニメ監督の宮崎駿氏らが就いたのは、その一例である。

 訪米前に翁長氏は、前知事による辺野古沿岸部の埋め立て承認について、有識者委員会から取り消しが提言されれば「取り消すことになる」と明言した。

 これに対して菅氏は「政府の方針は変わることはない」と、承認を取り消されても工事を進める考えを示している。対抗策の応酬は、対立を深めるばかりだ。

 菅氏は「普天間飛行場の危険な状況に、現職知事としてどう対応するのか」と対案を求める。

 しかし、翁長氏は、沖縄が自ら基地を提供したことはなく「銃剣とブルドーザー」によって先祖伝来の土地を奪われ、普天間飛行場が造られた、と訴えている。基地の由来を考えれば、菅氏の問いは問題のすり替えにほかならない。

 政府がなすべきことは、今夏にも予定される辺野古埋め立て本体の工事強行ではない。

 県民の声に耳を傾け、実のある対話を尽くしてもらいたい。


 
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