1. Home
  2. ビジネス
  3. 「来館者数日本一」の図書館は岡山県だった! 岡山県立図書館の、知られざる「人気のヒミツ」に迫る!

「来館者数日本一」の図書館は岡山県だった! 岡山県立図書館の、知られざる「人気のヒミツ」に迫る!

出典:ja.m.wikipedia.org
 みなさんは、「日本一の都道府県立図書館」をご存知だろうか。東京や大阪などを予想すると思うが、実際はそうではない。

 それは「岡山県立図書館」である。岡山県立図書館は、来館者数・個人貸出冊数において9年連続で1位を獲得している。今回は、2015年6月8日放送のTBSテレビ『世にも不思議なランキング なんで?なんで?なんで?』に合わせ、岡山県立図書館がなぜここまで愛されているのか、その秘訣を探っていく。

岡山県立図書館は「いま」に強い!

 岡山県立図書館の強さの理由のひとつに、圧倒量の「新刊購入数」が挙げられる。新刊、すなわちその年に出た本の購入数において、岡山県立図書館は1位を獲得している。その数なんと50,402冊(2013年度)。2位の東京とは8,000冊近い差をつけているのだ。

 加えて、児童書の新刊購入率はほぼ100%となっている。そのため、児童書を求めにやってくる子供たちが、目当ての本を見つけられなかったということはまず起こりえないのだ。岡山県立図書館は、子供を持つ母親にとっても配慮が行き届いているのである。

 しかしここで一つ疑問が生じる。5万冊もの書籍を、いったいどのような方法で購入しているのか。すなわち「カネ」の出所である。次項では、図書館の行っている意外な「ビジネス」を紹介しよう。

図書館独自の収益システム「雑誌スポンサー制度」

 図書館に収蔵されているのは、一般的な「本」だけではない。もちろん、雑誌や新聞なども収蔵されている。図書館はその中で「雑誌」に目をつけた。

 雑誌は多くの場合、一つのジャンルに絞られて内容が書かれている。そのため、読者層もある程度固定される。読者層が固定されるということは、その本に対するニーズも固定されるということだ。

 そこで図書館が考えたのが「雑誌スポンサー制度」である。雑誌の表紙の一部や最後のページなどの場所に、その雑誌のニーズに近いコンテンツの広告を載せる。企業側も、ニーズのあった場所に「比較的安価に」広告を載せることができるため、喜んで出稿するのだ。

 実は、この制度、なにも岡山県立図書館だけのサービスではない。今では、ほぼすべての図書館でこの「雑誌スポンサー制度」は導入されている。しかし今でこそ一般的に浸透したが、この制度をいち早く導入したのが岡山県立図書館だった。そのため、岡山県立図書館は資金という面で他の図書館を一歩突き放すことができたのだ。

岡山県立図書館が誇るサービス「デジタル岡山大百科」

 岡山県立図書館の人気をここまで上げた一番の理由、それは「デジタル岡山大百科」の存在である。

 デジタル岡山大百科とは、岡山県立図書館が独自で開発した電子図書館である。24時間365日アクセスすることができ、欲しい書籍がどこにあるのかを簡単に検索することができる便利な機能だ。

 このデジタル岡山大百科だが、他の図書館が持つ機能と少し違う点がある。それは「郷土情報ネットワーク」という機能だ。これは、岡山県の郷土に関する情報を一括にまとめて公開しているものだ。岡山の郷土データも、まとめてデジタル岡山大百科が管理しているということである。

 大きな特徴として、「誰でも郷土情報を投稿することが出来る」という点が挙げられる。岡山県民全員が一つのデータを作り上げるため、非常に綿密なデータが蓄積されていく。

 このサービスを行って以降、岡山県民の「県民志向」が高まり、地元に対してより「愛着」が湧くようになった。そしてそれは同時に、岡山県立図書館の人気を押し上げる形となったのだ。

トップレベルの「司書」、トップスピードの「貸出」

出典:teacher.scholastic.com
 今までは、本そのものやデータなど、「モノ」に着目した強みを紹介してきた。しかし何より岡山県立図書館が他の図書館に比べて最も優れているところ、それは「ヒト」のレベルである。岡山県立図書館に勤めている「司書」は、読書案内の対応が他の図書館より抜きん出ているのだ。

 研究目的で図書館を訪れてみたとする。大抵の場合、どのような問いの回答を求めに来たというのは明確だが、何を参照すればその情報が手に入るのかがわからない。この時司書は、問いの内容から相手が必要としている情報を把握し、回答がなされているであろう書籍を相手にオススメする。一般的な司書に比べて岡山県立図書館の司書は、オススメに至るまでのスピードが大きく違うのだ。

 加えて、岡山県立図書館は貸出のスピードにおいても他を圧している。カウンターに自動的に書籍を届ける「自動化書庫」の存在も大きいが、何よりも「ホスピタリティ」の高さが大きな理由だ。

 岡山県立図書館は、蔵書のうち2/3が自動書庫に入っている。残りの1/3は当然「手動」で探さなければならない。1/3とは言え、その数は40万冊を超える量だ。そんな膨大な書籍のうちの1冊を、岡山県立図書館の係員は「走って」探している。「お客様」である利用者を待たせるわけにはいかないという一心で、全力で書籍を探して回るのだ。このホスピタリティの高さ、そして司書の知識の豊富さこそ、他の図書館には真似できない岡山県立図書館の強みなのだ。


 日本で一番使われている都道府県立図書館、岡山県立図書館。最初に聞いたときは意外だったが、これらの理由を見ると、大変納得がいく。図書館に日ごろ興味がなかった人も、この機会に一度、足を運んでみてはいかがだろうか。

U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう
この記事を報告する

新たなビジネスチャンスは「職場」にあり? 可能性が拡大しつづける「BtoE」ビジネスとは

  • 2015/06/01
  • 6092views
  • 1fav
  • ryoka

by Keng Susumpow

 「BtoB」も「BtoC」もビジネスの世界では当たり前の言葉だが、近年注目されているのが「BtoE」ビジネスだ。食品メーカーを筆頭に、様々な企業が取り組もうとしている「BtoE」とは、どのようなビジネスを指すのだろうか。

「BtoE」ビジネスとは?

 「BtoE」とは、「Business to Employee」の略であり、「従業員向けビジネス」とされる。言葉自体は昔から存在したが、これまでは「社販」や「福利厚生」など「自社の従業員に向けたサービス」の意味で用いられることが多かった。

 しかし、現在話題になっているのは少し違った「BtoE」だ。社外の人が、オフィスで働く人に対してサービスを提供する形が増えている。

 つまり、市場を「オフィス」としてビジネスを行う企業が増えているのである。

BtoEビジネスに挑戦する企業

 では実際、どのような企業が「BtoE」ビジネスに取り組んでいるのだろうか。「BtoE」ビジネスを行う企業とサービスの一部を見ていきたい。

オフィスグリコ(グリコ)

by yto

 BtoEビジネスを行う企業の中で、かなり初期からBtoEに取り組んでいるのがグリコ。契約するとお菓子が詰まったBOXをオフィスに設置することができ、今や設置数は11万を超えているという。

 利用者は、好きなときに好きなだけお菓子をBOXから取り出し、その分の代金を払う。オフィスグリコの成功が、BtoEビジネスを活性化させたと言っても良いかもしれない。

Salad Oisix for オフィス(Oisix)

by TAKA@P.P.R.S

 ランチにサラダをオフィスまで届けてくれるのがOisixの提供する「Salad Oisix for オフィス」。こちらはBOXなどをオフィスに設置し、商品の入れ替えは月1回ほどの「置型」サービスとは違い、最低週3回Oisixのスタッフが直接オフィスに訪問し、サラダを販売してくれる。

 オフィスグリコのお惣菜版とも言える「オフィスおかん」との資本提携も開始し、新鮮なランチの決定的なポジションを狙っているといえるだろう。

オフィス・コスメ


出典:www.esthe-news.jp
 
 BtoEビジネスに参入しているのは食品メーカーだけではない。「オフィスコスメ」はオフィスではたらく女性向けに化粧品を提供するサービス。

 導入コストもかからず、オフィスグリコと同様、欲しい時に欲しい分だけ購入してその分の代金を支払うシステム。テスターなども充実しており、女性に嬉しいサービスになっている。 

「BtoE」ビジネスのメリットとは

 様々な企業が挑戦しようとする「BtoE」ビジネス。これまでとは全く違う販売形態に乗り出すことになる企業も多いが、一体そこにはどんなメリットがあるのか。いくつかのポイントを挙げてみた。

集客が必要なし

 BtoEビジネスが市場とするのは「企業のオフィス」。そこには何も集客しなくても毎日沢山の人がやってくる。

 BtoE事業では、そんな人が溢れるオフィスの一番近くでモノを売ることができる。これは、集客コストを考えなくていいという点で大きなメリットとなるだろう。

人件費が削減できる

 置型のビジネスが多い「BtoE」ビジネスでは、人件費を安く押さえることができる。

 多くのサービスでは商品の入れ替えは月に1回ほど。その1ヶ月の間、人を配置せずに済むため、大幅な人件費をカットできるのである。

まだまだ競合が少ない

 さらに、BtoEビジネスの面白いところは、まだまだ競合が少ないところ。コンビニやスーパーで商品を売るよりもずっと競合の存在を恐れることなく商品を売ることができる。

 「オフィスでの〇〇といえばコレ!」というものが定着する前の今こそ、BtoE事業を成功させるチャンスなのかもしれない。

可能性広がる「BtoE」ビジネス

 メリットでも述べたように、「まだまだ競合が少ない」という状態のBtoEビジネスには、様々な可能性が広がっている。

 ニーズに関しても、ランチやお菓子、コスメの他にもニーズが必ずあるはずだ。働く人や導入企業からお金をもらうだけでない、新しいビジネスモデルが生まれる可能性もある。

 これからも沢山のサービスが生まれる可能性のある「BtoEビジネス」の世界。これからどんなサービスが生まれ、オフィスで働く人たちに価値を提供していくのか楽しみである。

U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう
この記事を報告する