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【政治】

集団的自衛権 行使例の機雷除去 敷設国から攻撃、戦闘も

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 Q 安倍晋三首相は、集団的自衛権行使の事例として「ホルムズ海峡の機雷除去」を挙げるけど、そもそも機雷って何ですか。

 A 船舶の航行を妨害する目的で海峡や港湾の出入り口にまく海の爆弾です。鎖でつながれた係維(けいい)機雷、海底に置く沈底(ちんてい)機雷、魚雷を発射する短係止(たんけいし)機雷があります。船体が触れたり、鉄製の船の磁気に反応したりして爆発するほか、スクリュー音や水圧に反応するタイプもあります。

 Q 機雷敷設は内緒?

 A 国際法上、敷設した国は敷設海域を告示する義務があります。仮に一個しかまいていなくても機雷に触れれば沈没するので、告示海域は通れなくなります。

 Q 除去が必要ですね。

 A 船舶が行き来できる航路を確保しなければなりません。除去作業は主に、「掃海具」という道具で鎖を切って機雷を浮上させたり、磁気を出して誤作動させたりします。まず掃海ヘリコプターが掃海具で上空から大まかに除去し、次に掃海艇が敷設海域に入って根こそぎにします。

 Q 掃海艇は機雷の上を通っても大丈夫なの?

 A もちろん危険はあります。磁気に反応しないよう船体は木やグラスファイバーでできていますが、エンジンは鉄です。それでも敷設海域を何度も往復して安全性を確認します。

 Q 機雷除去での自衛隊派遣はどの程度の規模になるの?

 A 現場の状況にもよりますが、複数の掃海艇のほか、ヘリ空母型護衛艦、掃海母艦、補給艦など最低でも七、八隻は必要でしょう。掃海ヘリは普段は艦艇に搭載していないので、輸送艦で運ぶかもしれません。

 Q 機雷を敷設した国は黙っているでしょうか。

 A 航空機などによる掃海艇への攻撃が考えられますね。発進して来ないよう基地を攻撃する必要が出てきて、本格的な戦闘になるおそれがあります。

 Q 安倍首相は「事実上もう戦闘が行われていない、しかし、停戦合意が国際的な法理上成り立っていない状況」での機雷除去を主張しています。

 A それなら正式な停戦を待てばよいだけの話です。停戦合意後、機雷は遺棄されるので集団的自衛権の行使にはならず、法改正の必要もありません。危険な掃海作業を安全に見せかけようとするから、ほころびが出てくるのです。

 

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