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【東京】

戦時下労苦 思いはせ 上野・下町風俗資料館で企画展

灯火管制が行われた戦時下の家屋内を再現したコーナー=台東区立下町風俗資料館で

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 戦時中に使われた日用品や当時の庶民の生活を紹介する企画展「戦後70年 下町の暮らしと出来事」が、台東区立下町風俗資料館(上野公園2)で開かれている。市民から寄贈された所蔵品を中心に戦前・戦中の雑誌や衣類、生活道具など約100点を展示。食料や物資が欠乏し、空襲が相次ぐ中で、庶民が味わった労苦の一端が浮かび上がる。7月12日まで。 (松尾博史)

 金属や物資の軍事用の利用が優先された結果、庶民の日用品には、さまざまな代用品が使われた。例えば、陶製の調理器具やボタン、紙製のチョッキが登場。古くなった衣類や布きれをつなぎ合わせ、新たに仕立てた衣服は「更生服」と呼ばれ、雑誌で作り方が紹介された。画家の中原淳一(一九一三−八三年)が描いた更生服のデザインも展示されている。

 深刻な食料不足で、カボチャや大根、トウモロコシなどの栽培法をまとめた手引書「戦時農園講義録」が出回った。空き地や河原で栽培するために町会内の隣組で回覧されたという。

 米軍機による空襲の標的にならないよう、灯火管制が行われた当時の家屋内の様子も再現。明かりを漏らさぬよう電灯には布の覆いが取り付けられ、壁には避難に備えて防空ずきんがかけられた。窓ガラスには空襲時の振動でガラス片が飛散しないよう、紙テープが張られたという。

 担当の学芸員、本田弘子さん(49)は「戦争を風化させないためにも、特に子どもたちに展示品を見てもらい、このような時代があったことを知ってほしい」と話す。

 会期中の毎週土曜の午後二時から二十分程度、学芸員が解説する「ギャラリートーク」がある(予約不要)。観覧料は一般三百円。小中高校生百円。月曜休館。問い合わせは、同館=電03(3823)7451=へ。

 

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