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2015年06月05日 08時41分 UPDATE

Google幹部の座を捨てソフトバンクに転身 孫正義氏が後継指名、アローラ氏はどんな人物か (1/5)

孫正義氏が“後継者”に指名したアローラ氏は元Google幹部。なぜソフトバンクに転身したのか――。

[産経新聞]
産経新聞

 ソフトバンクの孫正義社長が5月11日の決算会見の席上、米グーグルの最高事業責任者(CBO)から、ソフトバンクのバイスチェアマンに迎え入れたニケシュ・アローラ氏を、自身の後継者候補だと“電撃指名”し、驚きを持って受け止められた。孫社長が公の場で自ら後継者候補を口にするのは1981年の日本ソフトバンク(現ソフトバンク)設立以来、初めてのことだからだ。情報通信業界で輝かしい経歴を歩み、ソフトバンクの次期トップ候補に躍り出たアローラ氏は、出身地であるインドの財閥令嬢でモデル並みの美人と昨年結婚したばかり。カネも美女も手に入れたアローラ氏が孫社長の誘いを受け入れてソフトバンクに転身したのはなぜか。

元グーグルのナンバー2

画像 ソフトバンクの副社長に就任する海外事業担当のバイスチェアマン、ニケシュ・アローラ氏=5月11日、東京都内のホテル

 ソフトバンクで後継者問題は長年タブー視されてきた。証券アナリストや投資家などは「後継者問題がソフトバンク最大の経営問題」と懸念し、孫社長も2010年には後継者候補を見いだすべく「ソフトバンクアカデミー」を開校したが「この中から後継者が出ることはないだろう」(同社幹部)といわれていた。

 アローラ氏がソフトバンクのバイスチェアマンに就任したのは2014年9月。アローラ氏が10年在籍したグーグルは、インターネット検索サービスで世界シェア6割以上を占めるほかウエアラブル、スマートフォンからネット自動車まで事業領域を拡大し、世界で最も注目される企業の1つ。入社後わずか5年でグーグルのナンバー2といえるCBO兼上級副社長に上り詰めたアローラ氏がソフトバンクに転身したことは米国でも話題になった。

 当時、ソフトバンクは米携帯電話3位のスプリント・ネクステル(現スプリント)を買収後、4位のTモバイルUS買収に向けて米当局へのロビー活動を活発化。グーグル入社前にはTモバイルヨーロッパで最高経営責任者(CEO)だったアローラ氏のスカウトは、TモバイルUS買収への布石とみられていた。孫社長が、アローラ氏はTモバイルグループ出身だということを強く意識していたことは想像に難くない。それどころか、「TモバイルUS買収のためというより、買収後の布石として考えていた節がある」とソフトバンクグループ幹部はみていた。いずれにせよ、ソフトバンクによるTモバイルUS買収は米当局の強硬な反対によって頓挫。しかし、転んでもただでは起きないのが孫社長。付き合っているうちに「私より10歳若くて能力も人格も優れている」とアローラ氏を高く評価。空席だった後継者として事実上の指名を行った。

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