おはじきサッカー:横浜から世界へ 目標はW杯優勝

毎日新聞 2015年06月08日 21時46分(最終更新 06月08日 22時00分)

金曜夜におはじきサッカーを楽しむ集まりで、対戦を見守る鴻井建三さん(左から2人目)=横浜市中区黄金町の「ロックウェルズ黄金町店」で2015年6月5日、藤沢美由紀撮影
金曜夜におはじきサッカーを楽しむ集まりで、対戦を見守る鴻井建三さん(左から2人目)=横浜市中区黄金町の「ロックウェルズ黄金町店」で2015年6月5日、藤沢美由紀撮影
サッカー日本代表のユニホームを着た選手を模した駒。はじくとピッチ上を滑らかに動く=横浜市中区黄金町で2015年6月5日、藤沢美由紀撮影
サッカー日本代表のユニホームを着た選手を模した駒。はじくとピッチ上を滑らかに動く=横浜市中区黄金町で2015年6月5日、藤沢美由紀撮影

 目標はワールドカップ(W杯)優勝−−。テーブルゲーム「おはじきサッカー」の普及に、横浜市の作業療法士、鴻井(こうい)建三さん(53)が取り組んでいる。欧州では毎年W杯が開かれる「国際競技」だが、日本での知名度は低く、鴻井さんは市内を中心に地道に「選手」を増やしてきた。8月には黄金町で海外の選手も招いた「日本グランプリ」の開催を予定している。

 おはじきサッカーは、2人のプレーヤーが卓上でサッカー選手を模した小さな駒をはじいて対戦するゲーム。ルールは実際のサッカーに準じ、世界共通だ。

 「ボールが線の外に出たのでスローインします」。金曜夜、黄金町のバーで、初心者同士の対戦が行われていた。審判役の鴻井さんがルールを説明しながら丁寧に指導する。指先での戦いながら、ゴールを狙う「選手」の表情は真剣そのもの。始めて約3カ月という会社員、安達美香さん(39)は「難しくてかなり練習は必要だけど、面白い」と夢中になっていた。

 鴻井さんによると、おはじきサッカーは約70年前、イギリスで「SUBBUTEO」という名前で誕生。テレビゲームなどの普及で一時廃れたが、近年になって再び人気を盛り返し、世界の愛好家は500万人以上に上る。昨年、ベルギーで開かれたW杯には33カ国が参加したという。

 鴻井さんがこのゲームに出合ったのは約10年前。作業療法士として働く中、指のリハビリや空間認知力を鍛えるのに役立つと考えた。元々サッカー好きで、その面白さにすっかり心引かれた鴻井さんは「おはじきサッカー」と命名し、2007年に「日本おはじきサッカー協会」を設立した。

 現在、市内で開いている練習会に通う小学生十数人を含め、活発に活動する国内の選手は約50人。13、14両日にシンガポールで開かれる大会に、小学生3人を連れて初めて出場する予定だ。彼らが大人になる10年後には「W杯優勝」を成し遂げたいという。

 鴻井さんは「はじいた数だけ上達する魅力的なゲーム。これから裾野を広げ、優勝するまでの道のりも楽しみ」と話す。問い合わせは協会本部(subbuteojapan@gmail.com)。【藤沢美由紀】

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