ジブリ汗まみれ「山口智子さんとの対談その2」の回を聴いて思ったこと
スタジオジブリの皆々様,とりわけ鈴木敏夫さんへ
下記を聴いての感想です。
■2013/04/25 今週から全3回にわたって山口智子さんとの長野県・小布施での対談の模様をお届けします。【その2】
http://podcasts.tfm.co.jp/podcasts/tokyo/rg/suzuki_vol266.mp3
今日は,あまり書くこともないでしょうか。
学ぶ姿勢は必要と思いながら,私なんか学んだらそのぶん何かを返さないと
イライラするので,あんまり学んだことを溜め込むのは好きではないのです。
ですから逆に,学んで,納得しただけで,なにも返さない人を見るとイライラします。
山口さんはとなりの山田くんが好きで,鈴木さんに球を何度も投げ,
奈良への闇を体験する旅に繋がったと仰っていました。
これは,言い換えると,ポニョへの山口さんの出演以前に,山口さんから
ラブコールがあったため,ポニョへの山口さんの出演が決定したと
思っていいのでしょうか?
私は,出演者の決定の選考過程などけっこうアバウトなのですから,
ジブリなど心底惚れていて本当に出たい人間は,なんとかして頻りにアポを
とっていたら,そのうち使ってもらえる,というのが持論です。
宮崎さんがホルスで使ってもらったように。
にもかかわらず,人々は,たとえ声優であっても芸能人であっても,
役柄はオーディションで決まる,という先入観に捉われてしまっていて,
それ以外の道を求めるチャレンジをしていない人が非常に多いと思います。
制作者側から言えば,文句なく上手いけれどもあくまでドライに演じる俳優と,
スキルは十人並みだけれどもジブリがとにかく好きで,それも通り一遍の好きさ
ではなく,ケタはずれにあれこれとクリエイティブなアイデアが出てくるくらい
好きな俳優がいたとして,どっちを使いたいかといえば,
どうしても後者を使ってみたくなると思うのです。
さらに私の持論を言えば,いまは下手でも,上手くなりたいとイメージするものが
あれば,365日一歩一歩でも前進できるため,1年2年と経てば着実に上手になり,
いつかは一流になれると思うのです。
逆に,いまいくら上手でも,上手くなりたいとイメージするものがなければ,
何年経ってもそれ以上上手くなりようがないと思うのです。
ゲド戦記のときに,鈴木さんは,親子で伝えていく職人芸もあるとかいう説明をされ,
宮崎吾朗さんを監督に据えられたと思うのです。
私は,巨匠の子供は,たとえば宮崎吾朗さんは,親のスキルだけでなく
モチベーションまでをを見て育ってきたため,仮にいまは下手でも,
上手くなりたいとイメージするものがある状態であるから,
親に近いところまで行きやすいのだと思うのです。
いやもちろん,巨匠のすべての子供がそうだとは思ってはいませんが,
宮崎吾朗さんに関しては,宮崎駿さんの姿勢をしっかりイメージできていた。
だからこそ,建設コンサルタント・環境デザイナーでも成果を出され,
アニメの世界でも同様に成果を出されたと思うのです。
そう考えると,山口さんは,ジブリの学び続ける姿勢を賞賛されていましたが,
それは必ずしも正しいとは思いません。
いくら学び続ける姿勢を見せようとも,共産党のように,赤旗新聞で
姿勢を見せることにこそ意義がある,的な姿勢であれば,いつまでたっても
万年野党であり,成果が出ないと思います。
赤旗は,”学ぶ姿勢”を見せて,どうだ,すごいだろう!と言っているだけと思います。
そうではなくて,なにかを人に伝えたい,そのためにはまだ自分に足りないものがある,
と,つねにイメージするものがある。
そうすれば,学ぶということを意識することなく,自然に入ってくると思うのです。
たとえば,自分の子供になにかを伝えたいと思えば,学ぶことなど意識せずに
子供にわかる表現をいつの間にかあれこれ身に付けますよね。
高畑作品は非常によく考えられているとは思うのですが,人々にわかる表現を
あれこれ身に付けて実践されているかというと,そうではないように思います。
山口さんがゴーイングマイホームに出られて,それが受けない,
日本人が変わった。と仰っていました。
そういうことを非難する論調と思いました。
が,受けないからこそ,受けて上手に彼らの心を掴み取るにはどうしたらいいか?
を考えられる楽しみがある,それを考えつけば大ヒット間違いない,と,
鈴木さんには前向きに考えていただきたいと思います。
私は,映画やドラマの伝え手が伝えるべきは大きく2つあると思っています。
ひとつは理想的なイメージであり,もうひとつは現在の自分たちとのギャップだと思います。
理想的なイメージはそうそう変わるものではありませんが,
現在の自分たちとのギャップについては,現在の自分たちの状況をリサーチ
しなければならず,年月が経てば移ろいゆくものと思っています。
その現在の自分たちについて,ちゃんと向き合ってウケるものを提示すること,
それはまるで,魚のいるところに餌をまき,竿を垂らす,釣り師と同じと思います。
ジブリに言い換えれば,宮崎さんは釣り師的な側面が大きく,
高畑さんは理想的なイメージを追い求める側面が大きいと思います。
その,釣り師的な側面に真正面からぶち当たっているヒトが,じつはいまあまりにも
少ないと思います。
言い換えれば,釣り師的な側面から,理想的なイメージまで持ち上げている
プロデューサーがいません。
それこそが真の問題なのではないかと思います。
それは,鈴木さんにも当てはまります。
高畑作品に足りないものがあれば,それを補うのは鈴木さんのプロデュース力と思います。
鈴木さんも,偉そうなことを仰りながら,ご自分の仕事からは逃げられてきた。
それが,となりの山田くんの大惨敗として現れたのだと思っています。
鈴木さんは,ジブリ映画の宣伝で,
「宮崎駿の名前を使うな。どういう企画か,どういう内容か,それを最初に言え。」
と仰っていましたが,であればこそ,
となりの山田くんであっても,もっともっと,どういう企画,どういう内容,
そういうものを掘り下げて,人々を釣り上げられるところまで落とし込まねば
ならなかったと思うのです。
じつは,同様の問題が,AKBでもあります。
「AKB48のあんた、誰?」という番組です。
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「AKB48のあんた、誰?」
http://www.nottv.jp/special/akb48_antadare/
毎週月曜~金曜の夕方5時から放送している生放送番組「AKB48のあんた、誰?」。
AKB48ファンの間では有名でも世間での認知度がイマイチなメンバーにチャンスを与える番組です。
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こういう課題であれば,ベースとして,誰が出ても,仮に一般人が出ても面白い企画を
プロデューサー,ディレクター,放送作家などは考えねばならないと思います。
その結果,一般人が観ても面白い番組ができ,そこにAKBのメンバーが出ていることにより,
「面白い番組に出ているこの子,AKBなの?」
というふうに一般人が驚き,そこから認知度がイマイチなAKBメンバーを
徐々にでも売ることができると思うのです。
然るに,「AKB48のあんた、誰?」のいまの企画は,仮に一般人が出たとしたら,
誰がこんな番組見るか分からない意味不明な,下準備も要らないような安直なものばかりで,
AKBという名前に100%おもねっている状態です。
私がそれをいくら指摘し,番組の質の向上を訴えても,番組スタッフは理解しません。
結局,鈴木敏夫さんが,また秋元康が,外に対して吠えているだけでは駄目で,
自分から手本を示さねば,雇われスタッフはいつまで経っても理解しないのだと思います。
私は人間とはそういうものだと,どこかで諦めてしまっています。
鈴木さん,私の主張を理解していただけたら,ご自分からもっともっと
動いていただきたいと思います。
Hidenobu Onishi
Op de geest 45
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大西秀宜
http://onicchan.cocolog-nifty.com/blog/
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