中央防災会議:危険高い地域絞り早期に避難勧告…報告書案
毎日新聞 2015年05月26日 21時40分
昨年8月の広島市の土砂災害などを受け、今後の対策を検討してきた政府の中央防災会議の作業部会(主査、池谷浩砂防・地すべり技術センター研究顧問)は26日、山谷えり子防災担当相への報告書案を大筋でまとめた。災害の起こる危険性が高い地域を絞って早めに避難勧告を出すよう自治体に促すことなどが柱。近く正式決定し公表する。
74人が亡くなった広島市の土砂災害では、市町村長らが避難勧告などを出す判断を助けるために気象台と都道府県が共同発表する土砂災害警戒情報は出ていたにもかかわらず、市側の避難勧告発表のタイミングが遅れた。
土砂災害警戒情報は市町村単位などの広域を対象に出されるため、自治体が「空振り」を懸念して同情報に基づく避難勧告を出すのをためらう傾向が指摘されている。このため報告書案は、自治体が事前に土砂災害の危険性が高い地域を把握し、適切なタイミングで対象範囲を絞って避難勧告を出すことを推奨した。
また、避難勧告前に早めの準備を促す「避難準備情報」を活用し、状況によっては住民に自発的避難を呼びかけたり、避難場所の早期受け入れを伝えたりすべきだとした。住民にも避難場所や避難方法を事前に確認しておくことを求めた。
内閣府は報告書を踏まえ、昨年9月に改定した国の避難勧告に関する指針を見直す。
また報告書案は、砂防ダムなどの適切な整備や森林保全などハード面の対策も促した。災害派遣精神医療チーム(DPAT)を災害発生直後から派遣し、被災者の心のケアを充実させることも盛り込んだ。【狩野智彦】