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“20歳なのに投票できず” 制度問う初の裁判6月7日 19時36分
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現在の選挙制度では、20歳になって新たに選挙権を得た人が選挙前の3か月間に転居すると、新旧どちらの住所の自治体でも投票が認められない事態が生じています。こうしたケースで去年の衆議院選挙の投票ができなかった20歳の大学生が、「制度の不備によって若者の選挙権が制限されている」と主張して、選挙制度の妥当性を問う初めての裁判を東京地方裁判所に起こしました。
裁判を起こしたのは、東京に住む20歳の女子大学生です。
去年10月に20歳になり、選挙権を得ましたが、12月の衆議院選挙ではその直前に転居したことが原因で投票が認められませんでした。
現在の選挙制度では、転居後、選挙まで3か月以上住んでいないと新しい住所の自治体では投票できず、以前住んでいた自治体で投票する決まりになっています。これは、選挙のときだけ応援する候補者の選挙区に住民票を移すという不正行為を防ぐための措置です。
ところが選挙前の3か月間に転居し、その前後に20歳になった人は、以前住んでいた自治体では有権者として登録されていない場合があるため、新旧どちらの住所の自治体でも投票できない事態が生じてしまうのです。
こうしたケースに当てはまった女子学生は、ことし3月、「制度の不備によって若者の選挙権が制限されている」と主張して、国に20万円の損害賠償を求める裁判を東京地方裁判所に起こしました。
先月開かれた1回目の裁判で、女子学生は「選挙権の平等を保障した憲法に違反している」と訴えたのに対し、国側は争う姿勢を示し、具体的な主張は今後行うとしました。
総務省によりますと、こうした裁判は全国で初めてとみられるということです。
この問題を巡っては、自民党、公明党、次世代の党などが先月、新たに選挙権を得た有権者が転居し、3か月たたないうちに国政選挙が行われる場合、転居前に住んでいた自治体で投票できるようにする公職選挙法の改正案をまとめ、衆議院に共同で提出しています。
去年10月に20歳になり、選挙権を得ましたが、12月の衆議院選挙ではその直前に転居したことが原因で投票が認められませんでした。
現在の選挙制度では、転居後、選挙まで3か月以上住んでいないと新しい住所の自治体では投票できず、以前住んでいた自治体で投票する決まりになっています。これは、選挙のときだけ応援する候補者の選挙区に住民票を移すという不正行為を防ぐための措置です。
ところが選挙前の3か月間に転居し、その前後に20歳になった人は、以前住んでいた自治体では有権者として登録されていない場合があるため、新旧どちらの住所の自治体でも投票できない事態が生じてしまうのです。
こうしたケースに当てはまった女子学生は、ことし3月、「制度の不備によって若者の選挙権が制限されている」と主張して、国に20万円の損害賠償を求める裁判を東京地方裁判所に起こしました。
先月開かれた1回目の裁判で、女子学生は「選挙権の平等を保障した憲法に違反している」と訴えたのに対し、国側は争う姿勢を示し、具体的な主張は今後行うとしました。
総務省によりますと、こうした裁判は全国で初めてとみられるということです。
この問題を巡っては、自民党、公明党、次世代の党などが先月、新たに選挙権を得た有権者が転居し、3か月たたないうちに国政選挙が行われる場合、転居前に住んでいた自治体で投票できるようにする公職選挙法の改正案をまとめ、衆議院に共同で提出しています。
1人で提訴 「初めての選挙できずショック」
裁判を起こした女子学生は、去年10月に20歳になって選挙権を得ました。その1か月後に衆議院が解散されると、選挙までの間、各政党の主張を調べるなど投票先を真剣に考えました。当時、都心にある大学に通いやすいよう、23区内に引っ越したばかりでした。3か月以上住まないと新しい住所地で投票できないルールは知っていたため、去年12月の衆議院選挙の投票日には、前に住んでいた三鷹市の投票所に向かいました。
しかし三鷹市での投票も認められませんでした。有権者の名簿は3か月ごとに更新されますが、女子学生が三鷹市に住んでいたときに最後に更新されたのは去年9月で、その時点ではまだ19歳だったため、有権者として登録されていなかったのです。
納得できなかった女子学生は選挙制度を詳しく調べて、2か月後、弁護士に頼らず1人で裁判を起こしました。
女子学生は「初めての選挙ができずショックを受けました。若者の投票意欲が低いと言われるなかで、国がみずから若者の投票意欲を低下させるような制度を放置しているのは本当におかしいので、すぐに対応してほしい」と話しています。
しかし三鷹市での投票も認められませんでした。有権者の名簿は3か月ごとに更新されますが、女子学生が三鷹市に住んでいたときに最後に更新されたのは去年9月で、その時点ではまだ19歳だったため、有権者として登録されていなかったのです。
納得できなかった女子学生は選挙制度を詳しく調べて、2か月後、弁護士に頼らず1人で裁判を起こしました。
女子学生は「初めての選挙ができずショックを受けました。若者の投票意欲が低いと言われるなかで、国がみずから若者の投票意欲を低下させるような制度を放置しているのは本当におかしいので、すぐに対応してほしい」と話しています。
原告の大学生が以前に住んでいた東京・三鷹市の選挙管理委員会の宮崎治事務局長は「投票したいというご本人の気持ちはよく分かりますが、法律によって選挙人名簿に載せる人や名簿を更新する時期の決まりは全国一律になっているので、自治体としては制度に基づいて運用するしかありません」と話しています。
また、今回の裁判について総務省選挙部は「係争中なのでコメントできない」としています。
一方、選挙制度に詳しい早稲田大学の片木淳教授は「選挙全体のシステムを間違いなく運営しようとしたしわ寄せが、一部の若者に来てしまっている現れだ。選挙権は民主主義の根幹をなす権利なので、制度の改善の余地がないのか国は真剣に考えるべきだ」と指摘しています。
また、今回の裁判について総務省選挙部は「係争中なのでコメントできない」としています。
一方、選挙制度に詳しい早稲田大学の片木淳教授は「選挙全体のシステムを間違いなく運営しようとしたしわ寄せが、一部の若者に来てしまっている現れだ。選挙権は民主主義の根幹をなす権利なので、制度の改善の余地がないのか国は真剣に考えるべきだ」と指摘しています。