ヤマダ電機:46店5月末までに閉鎖 最終黒字半減響く

毎日新聞 2015年05月25日 21時10分(最終更新 05月26日 00時41分)

 家電量販最大手のヤマダ電機は25日、業態転換なども含めて直営店46店を5月末までに閉鎖すると正式発表した。郊外型の店舗を一斉に閉める一方、年内をめどに東京駅前に新規出店し、都心部の需要取り込みを図りたい考え。インターネット通販が普及し、国内市場の縮小が懸念される中、家電量販各社の戦略が問われる。

 「量から質への転換を目指す」。5月7日の記者会見でヤマダ電機の岡本潤専務はこう語り、店舗数などの拡大よりも利益を重視する姿勢を示した。同日発表の2015年3月期の連結決算は減収で、最終(当期)黒字も93億円にとどまり、前期の半分に落ち込んだためだ。

 減収減益の直接的な原因は消費増税後の販売低迷。しかし、岡本専務はインターネット通販の普及や少子高齢化による人口減などを理由に「短期的には家電の売り上げは回復しない。構造改革が必要」と指摘。今回打ち出した店舗見直しも構造改革の一環だ。

 ヤマダ電機が閉鎖する46店舗のうち45店舗は郊外型で、需要低迷が目立つ地域で事業を縮小する。一方、今年度の新規出店数は15店舗と従来の半分程度に抑えつつ、目玉店舗として東京駅・八重洲口側に新規出店する方針。増加傾向にある訪日外国人の需要を取り込む狙いがある。競合大手のビックカメラは都心部や主要駅前などに絞って店舗展開しており、ヤマダとのシェア争いが激化しそうだ。

 郊外型店舗を多く展開するエディオンとケーズホールディングスの15年3月期決算は、ともに減収減益。ただ、両社とも郊外重視の方針に変更はないという。野村証券の正田雅史マネージング・ディレクターは「地方に特化することで、ヤマダが撤退した地域でシェアを奪う可能性もある。市場が縮小する中で、地方でも都市でも競争が激しくなりそうだ」と話す。【岡大介】

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