空き家対策特措法:26日施行「危険な空き家」強制撤去も

毎日新聞 2015年05月25日 18時48分

 危険な空き家の所有者に対し、市町村が撤去や修繕などを命令できる「空き家対策特別措置法」が26日、全面施行される。全国の住宅に占める空き家の割合は約13.5%、約820万戸(2013年、総務省まとめ)に上り、今後の人口減少に伴って更に増加する懸念がある。特措法で空き家対策に関する市町村の権限を強化し、空き家増加の抑制を図る。

 空き家は、放置されて倒壊しかかったり壊れたりして危険▽ごみが放置されて衛生上問題▽治安悪化の懸念−−が指摘されてきた。400を超える自治体が空き家対策の条例を制定しているが、国も検討を進めていた。

 特措法は▽地震などで倒壊のおそれがある▽著しく不衛生で有害▽管理されず景観を損なう▽周辺の生活環境保全のため放置が不適切−−などの空き家を「特定空き家等」と定義する。

 特別区を含む市町村は特定空き家に立ち入り調査し、撤去や修繕に向けて所有者などに指導や勧告、命令することができるようになる。所有者が命令に応じない場合、行政代執行による強制的な解体・撤去が可能になる。命令に違反すれば50万円以下の過料、立ち入り調査を拒んだり妨げたりした場合は20万円以下の過料を科すこともできる。

 また、空き家の所有者把握のための固定資産税納税情報の内部利用や、空き家に関するデータベースの整備などの対策を自治体に求めている。

 住宅が建つ土地には固定資産税が最大6分の1に引き下げられる税制上の特例が空き家放置の一因との指摘もあり、自治体が所有者に勧告した時点で固定資産税の特例は解除されることになった。【坂口雄亮】

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