米大統領選:共和党、本命なき大混戦 予備選へ10人超え
毎日新聞 2015年05月24日 21時17分
【オクラホマシティー(米南部オクラホマ州)で西田進一郎】2016年米大統領選挙に向けた共和党の有力候補が集まる「南部共和党リーダーシップ会議」が21〜23日、南部オクラホマ州で開かれた。同党の候補者指名争いは「本命候補」不在で、既に6人が立候補を表明。最終的には10人を超える大激戦となる見通しだ。候補らは、約8カ月後に始まる党員集会・予備選を見据え、火花を散らし始めた。
「ワシントンには、よく戦う人はいるが勝利を収めていない。知事らは選挙に勝つために効果的な仕事をするが、戦いには勝っていない。両方できる人は今のところ見当たらない」
ウィスコンシン州のスコット・ウォーカー知事(47)は21日の演説で、同党の指名争いをこう表現した。立候補表明はしていないが、世論調査ではジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事(62)と首位を争う有力候補だ。
減税や雇用創出など知事としての実績と、労働組合との「戦い」でリコール(解職請求)されながらも対立候補をはね返した戦績が光る。「両方できるのは自分だけ」という自信が言葉ににじんだ。
「よく戦う人」と皮肉られたのは、テッド・クルーズ上院議員(44)やランド・ポール上院議員(52)だろう。当選1回ながら、上院で議事妨害の長時間演説をするなど戦い方は派手だ。妥協を許さない保守系草の根運動「ティーパーティー(茶会)」の支持が強い。
一方「選挙に勝つために効果的な仕事」をしてきたのは、民主、共和両党に振れる「スイング・ステート(揺れる州)」のフロリダ州で知事を2期務めたブッシュ氏や、民主党地盤のニュージャージー州で2期目のクリス・クリスティー知事(52)らとみられる。無党派層にも支持を広げる政策の幅や進め方の柔軟さが特徴だ。ただ、保守強硬派は両知事らを「穏健派」と批判する。
クリスティー氏は22日、「共和党は、強くて、勝ち方を知っている候補者が必要だ」と民主党候補との本選挙を念頭にアピール。
ブッシュ氏は「共和党は『快適な領域』から外に出て行く必要がある」と語り、ヒスパニックや黒人、若者に働きかける重要性を改めて強調した。オバマ大統領に敗れた08、12年の失敗を繰り返さないよう、内向きとなる保守強硬派を批判したものだ。
これに対し、会議を欠席したクルーズ氏は、ビデオメッセージで「『保守』を掲げる候補者には『証拠を示せ』と聞いてほしい」と参加者に呼びかけ、穏健派をけん制した。
世論調査では、上位のブッシュ、ウォーカー両氏やマルコ・ルビオ上院議員(43)でも支持率は10%台だ。
黒人の元脳神経外科医のベン・カーソン氏(63)やマイク・ハッカビー元アーカンソー州知事(59)などテレビでも知られる候補や、12年大統領選にも挑戦したリック・ペリー前テキサス州知事(65)とリック・サントラム元上院議員(57)、さらにルイジアナ州のボビー・ジンダル知事(43)にも支持は広く薄く分かれている。
ただ、会議中の模擬投票(投票数958票)ではカーソン氏が25.4%の支持を集めて首位。ウォーカー氏(20.5%)▽クルーズ氏(16.6%)▽クリスティー氏(5.3%)−−が続き、ブッシュ氏は全体で6位の4.9%だった。