北海道の夫婦:ヨットで日本縦断中、人命救助 北九州で

毎日新聞 2015年06月08日 15時00分(最終更新 06月08日 18時55分)

日本縦断旅行中に男性を救助した小松基衛さん(左)と妻の由美子さん=山口県下関市で2015年6月4日午後7時6分、浅野翔太郎撮影
日本縦断旅行中に男性を救助した小松基衛さん(左)と妻の由美子さん=山口県下関市で2015年6月4日午後7時6分、浅野翔太郎撮影

 ヨットで日本を縦断中の北海道函館市の夫婦が寄港先の北九州市戸畑区の岸壁で、溺れていた釣り人男性(63)を救助した。戸畑消防署は「救助がなければ男性は死亡していた可能性が高かった」としており、夫婦は「助かってよかった」と喜んでいる。

 夫婦は小松基衛さん(68)と由美子さん(66)。3日午前11時50分ごろ、寄港先の戸畑区銀座2の岸壁で、2人が上陸後に停泊中のヨットに戻る途中、「助けて」という声を聞いた。防波堤から海に落ちた男性が側面の船止めにつかまっていた。男性が力尽き、今にも手が離れるところを基衛さんが上から手を差し伸べて助け出した。男性が意識を失わないよう、夫婦で声を掛け続けて119番した。

 戸畑消防署によると、男性は約40分間おぼれ、低体温症で病院に運ばれたが、命に別条はなかった。消防署は人命救助で表彰を検討したが、2人は「救助は当然のこと」と辞退して立ち去った。

 函館へ向かって北上中の夫婦は次の寄港先の山口県で取材に応じて「間一髪で何とか間に合って救助できた。自分たちも海では多くの人に助けられており、本当によかった」と話した。

 夫婦はヨットで太平洋を往復するなど、頻繁に航海に出ている。今回は昨年8月に猫2匹とともに函館を出港し、日本海を経て屋久島まで至り、現在、帰路中という。【浅野翔太郎】

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