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評論家・中野剛志氏 「米国の衰退で未経験の悲劇が起こる」

 八方塞がりです。靖国参拝をやめればどうにかなるといった段階は過ぎています。少なくとも10年前から、米国衰退という事態を見越して行動すべきでした。高校受験の前日になって、「勉強してないけれど、どうしよう」と言ったところで、どうしようもないのと同じです。

――それじゃあ、覇権戦争が起こってしまう?

 中東、東欧、東アジアとすべてにおいて、バランスが崩れていくと思います。今生きている人が経験したことがないような時代が来てしまったのですよ。

――では、10年後の日本はどうなっていますか?

 尖閣は中国に取られていてもおかしくない。その場合、エネルギーがない日本はシーレーンを確保できずに中国に逆らえなくなるのか。あるいは国内が猛反発して政治が力を示さざるを得ないような展開もあるかと思います。たとえば東日本大震災が起こり、御嶽山は噴火した。予測し得ないことが起こるわけですが、火山・地震学者以上に予測を外しまくっているのが政治家であり政治学者なのです。そのことを知り、備えを怠らないようにするしかありません。

▽なかの・たけし 評論家。1971年生まれ。東大教養学部卒。元京都大学大学院准教授。おもな著書に「TPP亡国論」「日本思想史新論」など。
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