――そのうえ、米国の威信が低下しているわけですから、世界中のあちこちの地域で、新たな覇権をめざす紛争が勃発する。そういうことになるのでしょうか?
カーター政権で大統領補佐官を務めたブレジンスキーは1997年に書いた「壮大なチェス盤―アメリカの優位性とその地政戦略的課題」という本の中で、ウクライナの危機を見越していた。その彼が最も恐れる最悪の事態が、ロシア、中国、イランというユーラシア大陸の3大パワーが手を組んで反米同盟を結成し、米国をユーラシア大陸から追い出そうというものでした。それに近い事態が、今、起きつつある。米国の地政学的基盤はこの20年弱で、ブレジンスキーが考えているよりもはるかに腐食したと思います。
■火山・地震学者よりアテにならない政治学者
――日本の外交はどうなるのですか? たとえば、中国との外交交渉でリスクを回避することはできませんか?