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評論家・中野剛志氏 「米国の衰退で未経験の悲劇が起こる」

――確かにロシアに対しても、「イスラム国」に対しても米国は無力ですね。

 イラク戦争の後、大きな転換が訪れたのです。米国はイラク戦争でかなりの打撃を受けた。経済的にも精神的にも。そこにリーマン・ショックが襲いかかった。そのどちらも米国の大戦略のミス。自業自得です。自由や民主主義といった米国の価値観を武力で他国に押しつけ、混乱を招き、グローバル化で経済を不安定化させて、米国は衰退した。グローバリズムという思想の過ちの結果です。

――だから世界各地で火柱が噴き上がった?

 東アジアの緊張、中東の大混乱、ウクライナ危機などのトラブルが世界中でほぼ同時に起きたのは偶然ではありません。米国の覇権国家としての力が落ちたからこそ、ここぞとばかりに噴出したのです。冷戦後の米国は覇権国家として世界に君臨するためにユーラシア大陸を支配することを重要視した。そのために東アジア、中東、東欧の三極を押さえようとした。この三極で同時に緊張が高まっている。危機がひとつであればいざ知らず、三極同時となると今の米国では対処できません。
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