Hatena::ブログ(Diary)

shi3zの長文日記 RSSフィード

2015-06-08

車で往復8時間かけても食いたい究極のメニュー マツコ・デラックスも絶賛!


 ミシュランガイドというものがある。

 タイヤ会社のミシュランが、タイヤの需要を喚起するために作ったレストランガイドで、基本的に車で出かけて行って美味しいお店が書いてある。


 さらに「近くに行ったらぜひ寄るべし」というオススメの店には星が付いていて、「遠回りしてでもぜひ寄るべし」というお店には星が2つ付いている。


 しかしミシュランといえば、やはり三ツ星レストランというのが最高の栄誉である。

 この三ツ星の条件とは何か。


 それは、「このレストランを訪れることが、旅の目的に成り得る」


 ということだ。

 

 舞子高原スキー場でドローンを飛ばし終えた僕とゴトーは、その足で新潟県長岡市に向かった。


 今回の旅のもう一つの目的を果たすために・・・それは、究極のメニュー。


 子供の頃育った町であっても、意外と知らないことは少なくない。

 その秘密は隣町にあった。


 我々の目的は、ズバリ、油揚げ、である。

 

 「なんだ、油揚げか」


 とバカにするかもしれない。

 しかし我々にとって、その油揚げは、まさに「旅の目的に成り得る」究極の逸品であった。


 東京ではなかなか見かけないが、今や長岡市と併合された栃尾 (とちお)の油揚げは、県下にその名を轟かせる名産品である。


 普通の油揚げとはわけが違う。

 まず、ずっしりと重い。


 そして厚みも違う。

 たっぷり2センチはある。


 これをフライパンで軽く炙って、納豆やらねぎ味噌やらを挟んで食うと最高の酒の肴になるのだ。

 僕とゴトーは、去年から栃尾の油揚げの魅力にすっかりハマってしまい、長岡市のスーパー「原信」まで足しげく通うほど好きだったのだ。


 とにかく一度食えば美味さがわかる。

 その上安い。日持ちしない。

 ここに激しい希少性があるのだ。


 戦国時代最強との呼び声も高かった、武将、上杉謙信も栃尾の油揚げをこよなく愛していたという。


 今年の頭に長岡市で若者向けに講演をした僕は、長岡市役所の人から、こんなうわさ話を聞いた。


 「栃尾まで行くと、その場で揚げた油揚げを食わせてくれる店がたくさんある」


 マジか

 それはぜひ行ってみなければならない。


 そこでドローンレースで新潟までやってきたついでに、栃尾に行ってみることを提案したのだ。

 ゴトーは大興奮。


 もういくしかない。

 しかし栃尾

 いまや長岡市の一部とはいえ、人生で一度も行ったことのない未踏の土地だ。


 市内からたっぷり30分はかかるところにある。

 

 お腹はペコペコ。

 そして長岡市から続く、長い長いトンネルを抜けると、そこは・・・天国だった。



 あちこちに「油揚げ」の看板が掲げられた店がある。


http://i.gyazo.com/2cd959601d18e7c6906eac11039e9511.png


 どれもこれも美味そうなのだ。


 矢も盾もたまらず、「この店に飛び込んでみよう!」と飛び込んだのが、毘沙門堂さん。

http://i.gyazo.com/42d68f0d28145ecdce71a124bb874d74.png


 噂通り、店内にはイートインもある。


 「あ、あの、揚げたての油揚げが食べたいんですけど・・・」


 恐る恐る言うと、店員のおばあちゃんが


 「それがねえ、もう終わっちゃったのよー。この時間はもう。朝来てくれないとー」


 なんと。

 栃尾の油揚げは、朝にこないと揚げたてが食えないのだ。


 「今朝揚げたのもあとこれしか残ってないのよー。マツコさんのお陰で・・・」


 確かに、ガラスケースの中の油揚げも、ほとんど残っていない。

 え?マツコ?・・・マツコって松たか子じゃなくてマツコ・デラックス!?


 「そうそう。マツコ・デラックスさん、テレビでうちの栃尾揚げを褒めてくださったお陰でもうなくなっちゃったのよー」


 マジか!?

 あの美食の王様、マツコ・デラックスまでもが、この栃尾揚げを・・・・ゴクリ・・・

http://i.gyazo.com/d0d5a6864499d40a08d22bf758974f45.png


 そう聞くともはや神々しくさえ見えてくる。

 しかも栃尾に来て初めて知ったのだが、味噌漬けとキムチ漬けというバリエーションまである・・・マジか


 とりあえずノーマルと味噌漬けを購入。


 「焼く前に30秒だけレンジでチンしてね。そうしたほうが美味しいからね」


 調理法まで教えて貰った。


 「お客さんたち、長岡の人?」


 「僕は生まれは長岡ですが、東京に住んでます」


 「あーそうなの?そしたらねえ、こんなところまで来なくても、通信販売やってるから・・・」


 「えー!そうなんですか」


 「それとねえ、揚げたて食べたかったら、この先にある道の駅にいけば夜までやってるから・・・」


 「ありがとうございます!!!」


 そして車に飛び乗り、一路道の駅を目指す。

 さすが田舎。「この先にある」といってもたっぷり20分くらいかかる。


 しかし俺たちは燃えていた。


 「ここは宝島だ!俺たちはトレジャーハンター!揚げたての栃尾揚げをゲットだぜ!」


 「いやあマジで楽しみっスねえ、ドキドキしてきましたよ」


 後藤も顔が緩んでる。



 これまでの人生で、道の駅に向かうのにこれほど興奮したことがあっただろうか。

 いや、ない。


 さあそして道の駅に到着。


http://i.gyazo.com/76097d88f4a48df4a9c058dcd5109ca6.png


 妙にデカイ道の駅だ。

 しかしそんなことはどうでもいい。


 どこだっ!?お宝はどこだっ!?


 腹ペコボーイズと化した俺たち油揚げ海賊団は、同窓会で昔好きだった女の子を探す勢いで素早く視線を走らせた。


 すると・・・・

http://i.gyazo.com/cc0d96940026ee26322e43be6dcf9773.png


 アレは何だーーーーーーーッ!!!!

 我々シミグチ後藤探検隊は、前人未踏の地(じゃないけど)、栃尾の中で、ついに伝説のお宝、揚げたて油揚げを発見した!!!!!


http://i.gyazo.com/919b86c10f7716cbf56d92a1a69e11ff.png


 やばい。興奮してきた。

 しかも地元なのにけっこう行列ができてる。

 皆揚げたての油揚げを求めて・・・


 ついに来たよ。

 ついに来た。


http://i.gyazo.com/fc736283e200fd26000bd68a2670a9bd.png


 ウヒョ〜!!!揚げてるよ!!!揚げてます。マジで。

 うわー美味そう!! 


 ヤバイ!ヤバイよー!!

http://i.gyazo.com/ae6b2a3aa0a66e32721d512b761f1ca0.png


 そして揚げたてでパンパンに膨らんでいる油揚げをダイナミックに肉切り包丁でザクッザクッと切っていく。


 この音がまたたまらない。


 ああおれは、あの包丁に・・・なりたいっ!!!



 興奮MAX

 初恋にも似たときめきを感じる。

 俺は今・・・・、宇宙の中心に居るッ!



 マリリン・モンローが田舎から出てきて初めてニューヨークのJFK空港に降り立った時、タクシーに乗って「私を宇宙の中心に連れてって」と言ったら運転手は「オーケー」と言ってタイムズスクエアに連れて行ったそうだ。


 だがなマリリン、本当の宇宙の中心はここだ。

 ここなんだよ!!

 ビッグバン!

 特異点!!!


 豆腐シンギュラリティ!!!


 興奮しすぎて頭がおかしくなってきた


http://i.gyazo.com/da80d93239d24bf609629ba798555159.png


 薄口醤油をかけて・・・うわあ

 もう香りだけでたまらん。


 こんなに芳しい香りを放つ油揚げが僕の人生にかつてあっただろうか。

 いやない。


 そして実食!

 まずはプレーンから!


 ガブッ・・・・ジュワァァァァ

 口の中いっぱいに、油揚げと上質な豆腐の風味が広がる。

 最高

 ・・・・・マジ最高。



 もはや理屈じゃない。

 美味い・・・・

 ただただ美味い・・・

 

 俺が今まで食ってきた原信の油揚げは一体何だったのだ。

 謙信・・・やるな・・・謙信。

 越後長岡の最強武将、謙信の魂をいま受け継いだぜ!


 うおおおお!!!毘沙門天!!!


 程良く熱い豆腐が口の中で弾ける。

 美味い!上手くて箸が止まらないぞ!!

 これぞ至高!!

 

 もはや県外の人がこれを「栃尾揚げ」と呼ぶのは理由があるのだ。

 それはもう、油揚げとは別事件の食べ物だからだ。


 世界で唯一、栃尾だけがこの至宝を食することができるとは!


 幸せの青い鳥は、隣町に居た!

 世界中を巡った僕の食の冒険はなんだったのだ。


 パリの三ツ星レストランでも、ニューヨークのピーター・ルーガー・ステーキハウスでもなく、生まれ故郷の隣町にこれほどの美食スポットがあったとは!!



 これこそがひとつなぎの財宝・・・ワン・ピース!!!!


http://i.gyazo.com/a5550dd50be121fb41c160e81cdf1203.png


 こちらはキムチのタレを付けた方。

 意外にも、甘辛い味

 それが優しい風味の油揚げに絶妙にマッチしていて癖になりそう。


 「あー、毘沙門堂のキムチ漬けの方も買っておけば良かったなア」


 軽く後悔するほど美味い。

 まさか油揚げとキムチがこれほどまでにマリアージュするとは!!


 ビックリ。

 

 「はあ・・・最高っすね・・・最高ッス」


 後藤は感動しすぎてこれから息を引き取る老人みたいな顔をしている。

 我々の人生で、これほど食に感動できる日は、あと何回来るのだろうか・・・


 至福・・・愉悦・・・法悦境



 マジで美味い。

 

 しかし他の店のも食べてみたい。

 おばあちゃんによれば、栃尾の油揚げ屋さんはいくつもあって、店によって味が全く異なるとのこと。


 そのためには前泊して朝から栃尾を回らなければ・・・

 次なる旅の目的が出来た。


 絶対行こう、とゴトーと意気投合する。


 帰り道、Amazonを調べると、たしかに毘沙門堂の栃尾揚げが売っていた。


[asin:B00SGHH2P0:detail]

 380円・・・なんて安いんだ。

 東京の名店の多くが毘沙門堂から油揚げを仕入れているらしい(おばあちゃんに具体的な店名も聞いたんだけどここでは内緒)



 こんなん自宅で炉ばた大将一択でしょ。

 店で食ったら2倍くらいの値段になりそう。


 コイツと日本酒でキュッと。

 はぁ・・・極楽だ。これは。


 日本酒は何が合うかな・・・

 さっぱりしてるから八海山みたいに甘い酒じゃなくて久保田みたいなキリッとした酒かな。

 最近は久保田の萬寿のその上の洗心と同じ精製度で作られた轍っていう酒が好きなんだよね。


 ハア

 やっぱり美味いものっていいなあ