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2009年12月 8日

宮沢りえ『サンタフェ』は児童ポルノか?

宮沢りえ『サンタフェ』は児童ポルノか?

昨日、このブログでこんな記事(どうなる?児童ポルノ規制法改正)を書いたのですが、今朝、NBオンラインで、やはり宮沢りえのサンタフェをモチーフにした児童ポルノ規制法に関する詳しい記事が流れていました。


一部、NBオンラインは有料で読めない方もいらっしゃることと思いますので、大事な点だけ抜粋します。


「サンタフェ論争」とは何か?

 こうした変化に先立って「ヘアヌード」の普及に決定的な役割を果たしたのが、1991年10月に発売された『サンタフェ』だったわけです。ただ、最初にも記した通り、発売時点で18歳6カ月だったモデルの宮沢りえでしたが、写真が撮影されたのがいつ、とは本には明記されていません。もしその撮影が同年4 月5日以前であれば、宮沢りえは17歳(以下)であったことになります。

 前国会で議論された「児童ポルノ法」改正案、ポイントを絞って書きたいと思いますが、満18歳未満の裸体を撮影した写真は「児童ポルノ」に当たる、とされています。改正案の中では、そうした「児童ポルノ」は閲覧もさることながら「単純所持」するだけで処罰の対象になる、という議論がなされました。

 これはつまり、『サンタフェ』を自宅に持っている人は、ある時期を過ぎると、所持しているだけで「犯罪である」ということになって、捕まってしまうということを意味します。2009年6月26日の衆議院法務委員会で交わされたやり取りの詳細などは、ネット上で見ることができますから、ご興味の方はご覧になられてもと思います。

 当時の与党自民党側の提案者として答弁した葉梨康弘議員に、民主党の枝野幸男議員が『サンタフェ』を提示して、出版当時は適法とされたこの写真集も、同法成立後は違法になるのか、と問いただしたのが、児童ポルノ法改正での「サンタフェ論争」と言われるものであります。この質問に対して葉梨議員は、同法によって『サンタフェ』単純所持が違法化されたとし、1年の猶予期間内に廃棄されなかった場合は、写真集の所持が「処罰の対象にすべきである」と受けとれる発言をし、一部で大いに議論が盛り上がったのでした。

 私は、当時社民党の議員で「死刑廃止議連」事務局長であった保坂展人さんからこの話を聞き、もろもろナルホドと思うことがありました。

 この法案はやや乱暴に作られており、法の不遡及の原則に逆らって、過去の出版物の単純所持を処罰の対象にすべきであるように述べています。過去の芸術作品や歴史的出版物を安易に「児童ポルノ」適用の範疇に入れてしまえば、谷崎潤一郎も川端康成も変質者ということになってしまう。審議以前に法案そのものを非常に慎重に再検討する必要がありますが、こうした拙速の提案を(末期だった)自民党政権が作った背景には米国からの強い要請が存在していたのです。


日本の「倫理」と世界の「モラル」

 これに先立つ2008年4月22日、アメリカ合衆国のトーマス・シーファー駐日大使(当時)は町村信孝内閣官房長官(当時)と面会し、児童ポルノ規制に関する異例の要請を行い「単純所持」に対しても明確な罰則規定を設けるように求めました。会見後シーファー大使は記者会見を行い「この問題は国際問題。日本もこの問題をちゃんと進めたいと思っている、と考えているようだ」と述べ、日本の対応に期待感を示しました。


この議論は業界の方には有名なやりとりですが、この拙速な案を自民党がつくった背景は、米国からの強い要請があったと国指定で書かれています。

そう、米国からそんな圧力がかかっているんですね。

タイタニックから飛び込む日本人は、「みんな規制するんだから僕らも規制しなきゃ」という論理で動いています。この圧力こそが、来年、児童ポルノ規制法が改正される確率をグンと高めています。


キリスト教のモラルと日本の倫理観

 キリスト教でも十分に厳罰の対象であり、イスラムでは死刑も科せられかねない「罪悪」である「性的倒錯」ですが、日本では、例えば「歌舞伎」における女形(おやま)に端的なように、近代以前から様々な性別の「とりかえばや」が、普通に語られてきた背景があります。

 もし「米国流グローバリゼーションだ」といって「歌舞伎のような技芸は悪魔的である。即座に廃止すべきだ!」などという圧力があったら、「余計なお世話だ」ということになるでしょう。「児童ポルノ」に近いところでは、例えば「お稚児さん」などという表現が、現在でも日本語として通用していたりする。

 こうした現象は西欧文化圏の観点、とりわけキリスト教のモラルから見る時、かなり際どいタブーに触れる可能性が高いわけですが、日本国内の倫理観では比較的「寛容」な反応に留まっている。国内外には長らく「温度差」が存在していたわけです。

 こうした背景があって、1990年代以降のグローバリゼーションが起きる。とりわけインターネットなど情報メディアの拡大・普及によって、海外から国内には「ヘアヌード」的な新しい波が押し寄せ、逆に日本からはマンガやアニメ、そのほか様々な「海外にはないもの」が情報輸出されてゆく。これに対して「日本の倫理観はなっておらん!」「早急に改めさせねば!!」という圧力がかかってくる。

 シーファー大使の日本政府への圧力は、実はこのような背景から考える必要があるものです。と言うのもこの「幼児ポルノの単純所持禁止」、日本以外の大半の先進国では、処罰の対象として犯罪に規定されているのです。さらにキリスト教の強い新興国・途上国でも、こうした性的コンテンツは厳密に禁止されています。さらにイスラームでは死刑にもつながりかねない。

 こんな具合で、グローバル状況の下、とりわけネットでつながれた各国の中で、日本はきわめて例外的に「単純所持が禁止されていない国」なのです。

 そんな日本から発信されている「マンガ」「ゲーム」「アニメ」には、タブーとモロに抵触する表現がてんこ盛りという現状。

 実際シーファー大使は、異例中の異例のことですが、国会議員を集めて児童ポルノ法改正に関するティーチインのレクチャーを行い、こうした活動に対してFBI(米連邦捜査局)から表彰されたりもしています。なぜ捜査当局から褒められたのか。ここまで読んでこられた皆さんには、非常にクリアにご理解いただけるかと思います。


宗教的、民族的、文化的な違いもあるでしょう。

日本の作品は秀逸で評価も高いです。
だからこそ欧米人が日本の購入し、欧米に持ち込まれます。
その根本を絶とう、ということなのでしょうね。

個人的には、経済的な輸出入の制限も原因かな、と思ったりもします。

ともあれ、この記事、いち意見として読んでみると興味深いです。

NBオンラインのID/PWがある方は、ぜひ、全文をお読みください。


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