西日本新聞社

68

月曜日

福岡
(きょう)

雨

23℃

佐賀
(きょう)

雨

23℃

大分
(きょう)

雨

20℃

熊本
(きょう)

雨

23℃

長崎
(きょう)

雨

24℃

宮崎
(きょう)

雨

23℃

鹿児島
(きょう)

雨

24℃

山口
(きょう)

曇のち雨

23℃

通信傍受85%が事件と無関係 8万8千回、通知なし

2015年06月05日 03時00分

 2000年施行の通信傍受法に基づいて、組織的な薬物犯罪などの捜査で通信傍受が計約8万8千回行われ、うち85%は事件とは無関係な内容だったことが4日、分かった。無関係な通信傍受は当事者に通知されない。国会で審議中の同法改正案は、現行法が4分野に限定した傍受対象の犯罪に詐欺や窃盗など9分野を加える内容で、知らない間に通信傍受されるケースが格段に増えるのは確実だ。

 現行法は、傍受対象を組織ぐるみによる薬物犯罪、銃器犯罪、集団密航、組織的殺人に限定。法務省が運用状況を毎年、国会に報告している。14年までの15年分を同省がまとめ、改正案を審議する衆院法務委員会で説明した。

 それによると、捜査機関は283件の傍受令状を裁判所に請求し、281件で認められた。8万7814回の電話やメールを傍受したが、事件と関連があったのは15%に当たる1万3499回のみ。傍受によって計525人を逮捕した。

 一方、85%の7万4315回は事件と無関係で、大半は容疑者と家族らの日常会話とみられる。11年のある銃刀法違反事件捜査では、傍受した2721回が全て事件と無関係だった。

 通信傍受法は捜査機関に対し、事件に関係する傍受内容だけを記録にまとめ、傍受相手に30日以内に通知するよう義務付けている。通知を受けた人は記録消去を求めて不服申し立てができる。無関係な内容は捜査機関の記録から削除され、容疑者と通信相手には通知もされない。削除に通信事業者ら第三者の立ち会いはなく、捜査機関を信用するしかない。裁判所には無関係な部分も含め全記録が一定期間保管される。

 改正案では傷害、放火、恐喝、児童ポルノ事件でも組織的犯罪の疑いがあれば傍受できる。犯罪との関係の有無は通信を聞いてみないと分からず、無関係な通信が傍受されるのは法律の構造的な問題といえる。法務省は「捜査に関係があるかどうか判断するため、極めて最小限、限定的に傍受しており、手続きを適正に踏んでいる」と説明している。

 ◆悪用防止へルールを

 ジャーナリストの大谷昭宏さんの話 プライバシー侵害は高価な物を盗まれるより重大な場合がある。犯罪と無関係な部分は削除しているという捜査当局の説明も第三者による検証はできず、根拠が示されていない。収集した情報の漏えいや悪用を防止し、処罰するルールが必要だ。

=2015/06/05付 西日本新聞朝刊=

◆トピックス

カラフルなウエアを着た登山客でにぎわう久住山山頂=7日午前9時41分、大分県竹田市(本社ヘリから)
Recommend【PR】
新着!在宅お仕事情報
九州お仕事モール

新規WEBサイトの制作(初心者も可・条件あり)
50,000 円 ~ 100,000 円

Recommend【PR】
Recommend【PR】
注目コンテンツ