シンガポールから見ても小さくなる日本の存在
「世界第3位の経済大国」などと言っている日本人にはイメージしにくいかもしれないが、アジアの中心からみると、日本がいかに「小さくなりつつある特殊な存在」にすぎないかがよくわかる。シンガポールは小さい国だが、そのシンガポールにいる外国人もシンガポール人も「Japan Too Small」を連発している。
シンガポールにいるビジネスリーダーたちは、GDPでは日本の3倍近くにまで成長した13億人の中国経済や、購買力平価ベースGDPで日本を超えた12億人経済のインド、こちらも購買力ベースでは日本に匹敵する6億人経済ASEANを相手にしているのだ。
経済重視のモディ政権となり、年率7%を超える経済成長率を叩き出しているインドは、来年は成長率が8%を超える可能性がある。このペースでいけば、あと7年ほどで実質GDPでも日本を超えてしまうだろう。10年後にはASEANも実質GDPで日本と肩を並べているはずだ。
中国の外貨準備は400兆円近くに達し、これだけで日本のGDPの8割に匹敵する規模である。「世界一の規模」と言っている日本の公的年金の4倍近い金額だ。これが中国人富裕層のお金とともにアジアを中心に世界中に染み出している。その一部がASEAN加盟国に少し流れ込んだだけで、たちまち大バブルとなる。
個人のお金もすごい。株式や不動産ではなく、限りなくキャッシュに近い形で1兆円近く持っている中国人富裕層がザラにいる。彼らをもってしても中国ではナンバーワンのお金持ちではない。私はそんな富裕層の一人と非常に親しくしているのだが、彼からは「この規模でお金を置いておくことは本当に大変だ」と、よく聞かされている。
彼はもちろん、金融商品だけではなく、事業や技術にも投資しているのだが、彼らの発想は私などとは全く違うスケール感なのだ。個人で、東証の一日の売買代金の1割以上の投資を一日のうちにやってしまうこともあるという。そういう資産家がシンガポールには複数居を構えている。このクラスの人間の資産運用を支援するのが、本当のプライベートバンカーなのだろう。
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