福島原発事故:営業損害賠償で見直し案提示
毎日新聞 2015年06月07日 21時00分
国と東京電力は7日、福島第1原発事故で主に避難指示区域内の商工業者に支払ってきた営業損害賠償について、2015年3月から17年2月までの2年分を一括支払いし、その後は個別業者ごとに対応する方針を明らかにした。福島県や県内の商工業団体などでつくる県原子力損害対策協議会の会合で示し、出席した東電の広瀬直己社長は17年3月以降について「損害がある限り賠償する」と明言した。
新たな賠償方針は与党が先月まとめた「復興加速化のための第5次提言」を踏まえた内容。17年3月以降も賠償を継続する条件として、東電側は会合で「やむを得ない特段の事情により損害の継続が余儀なくされる場合」と説明した。これに対し、参加した事業者からは、意図的に賠償範囲が狭められる恐れがあるなどとして「損害の範囲を広く捉えるべきだ」「事故との因果関係の証明を簡単な手続きにすべきだ」などの批判が出た。
一括支払いは中小企業(資本金または出資金が1億円以下)と個人事業主が対象。
一方、避難指示区域外の商工業者に対し、事故前との利益の差額を補填(ほてん)する「風評被害賠償」は、15年8月から17年7月までの2年分を、直近の減収分などから算定し一括払いする方針を示した。同年8月以降は営業損害賠償と同様、個別業者ごとに対応する。【土江洋範】