-全国の自治体や病院に「標準的対応フロー(flow)」というマニュアルが一斉配布されたそうだが。
谷口氏「その通りだ。新型感染症が日本に入ってくるケースは2つある。日本に来る前に既に感染の兆候がある場合と、日本に入ってきた後に症状が現れた場合だ。前者の場合は空港で検疫担当職員が確認する。後者の場合はもっと難しい。感染していても潜伏期間があるので、まだ発熱などの症状がないケースだ。該当地域から来た人々に『MERS感染の可能性があるので、日本に来た後に熱が出たらすぐに知らせてほしい』と告知している。該当者がきちんと理解を示して『サウジアラビアに行って帰ってきた後、熱が出たためMERSかもしれない』と判断して知らせてくれれば幸いだが、そうでないケースもある。そうしたケースに備えて、全国の保健所に『MERSが流行している。感染が疑われる人が来たら必ず連絡し、指定病院に行かせなければならない』と通知しておく」
-新しい病気が次々と発生している。こうした病気に対処するための原則は?
中島氏「新種の病気が発生したら、その病気が自国の感染症管理法で想定されているかどうかにかかわらず、鋭意注視しなければならない。自国が最初の発生国になる可能性もあると考えるべきだ。韓国はマニュアルがきちんとしていないようだが、日本のように自治体から中央政府までつながるネットワークを作っておく必要がある」
-今、韓国ではMERS患者を診療した病院を公表するかどうかが問題になっている。
谷口氏「SARS発生時、中国はすべて公表した。カナダなどほとんどの先進国も同様だった。公表によってリスク管理が可能になる。感染者がどこにどのようにとどまっていたのかが分からなければ不安は消えない。自分がどのように行動するべきか、すぐに治療するのが良いのか、また家族や友人とはどのように接触し、どのように共に対応するのが良いのか、一人一人が正確に知っていなければならない。本人が感染者かどうかが分かる情報を与えるべきだ。例えば『6月3日午後3時30分、新宿駅を患者が歩いていた』と公表し、その時間に周辺にいた人に注意を呼び掛けなければならない。そうすればパニックは起こらない」
-今後1-2週間がヤマだというが、どうするべき?
中島氏「基本は患者を発見すること、そしてそこからの感染をきちんと防ぐことだ。患者をいかに早く発見するかが非常に重要だ。1-2週間、政府と病院が患者をチェックし続け、症状が悪化する人がいないか確認しなければならない」