MERS:「韓国は早急に国際機関とデータを共有すべき」

海外の感染症専門家が指摘

 韓国での中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスの感染拡大に対し、各国の保健・感染症専門家らは「世界的に見て異例のこと」と評価し、最初の患者が発生して以降の個人と医療機関、政府の対応に全般的に問題があったと指摘している。

 世界保健機関(WHO)は2日、ホームページに掲載した「韓国のMERS」と題する評価書で「韓国でのMERSの広がりはサウジアラビアを除くと世界で最も規模が大きい」とし、韓国の初動対応の不手際を具体的に挙げた。

 評価書は「韓国最初の感染者である68歳の男性は(MERSが流行している)中東4カ国を訪問した後、症状が出たため4カ所の医療機関を訪問したが、(診察の際に)自身の旅行歴を伝えていなかった」と指摘。その結果、医師らがMERSの可能性に気付けずに隔離措置を取らず、最初の感染者の家族や見舞客、該当する病院の医療スタッフやほかの患者らが感染したと説明した。

 医療機関の不適切な対応への指摘も出ている。かつて流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)やサウジアラビアのMERSなど、医療機関がウイルス拡散を媒介したケースを教訓にできなかったとの指摘だ。米ミネソタ大感染症研究政策センターのマイケル・オスターホルム所長は米日刊紙USAトゥデイのインタビューで「MERSのようなウイルスが病院内で容易に広がるのは、医療関係者がよく知っていることだ」と話した。

 また、WHOでMERSを担当するピーター・ベン・エムバレク博士は米サイエンス誌で「(1人から数十人に感染する)『スーパー拡散』(Superspreading event)は、感染に対する病院の管理が不十分なときに最も起こりやすい。(韓国の最初の患者が病院で治療を受けていた)3日間に何が起きていたのか分からない」と述べた。

 後手に回った韓国政府の対応も俎上(そじょう)にのぼっている。感染症を専門とする英ロンドン大のアリムディン・ツムラ教授はロイター通信のインタビューで、韓国政府の対応の遅れに加え、保健当局が外部からの支援を受けることに慣れていない点を批判した。同氏は「韓国政府はできるだけ早く関連データを外部機関と共有し、海外専門家の支援を受けるべきだ」と助言している。

 韓国でのMERSの広がりが、韓国人の遺伝的特徴に起因している可能性も提起された。エムバレク博士は「最初の患者がほかの系統のウイルスを保有している状態でMERSに感染したか、または韓国人が他国の国民よりもMERSにぜい弱な遺伝子構造を持っている可能性がある」と指摘している。

ヤン・モドゥム記者
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連ニュース