札幌家裁が母親と祖母を刺殺した少女を、医療少年院送致とする保護処分を決定
北海道南幌町で17歳の女子高生が母親と祖母を刺殺した事件について、札幌家裁は21日、少女を医療少年院送致とする保護処分を決定した。
事件は昨年の10月1日午前2時半ごろに発生。
帰宅した長女(23)が血を流して倒れている祖母・佐竹須三代さん(72)と母親・和美さん(47)を見つけ110番通報。
道警栗山署は同日の午後に祖母と母親を殺害した容疑で高校生の三女(17)を逮捕しました。
事件の背景には祖母と母親の三女に対する虐待があり、三女は祖母から生ごみを無理やり食べさせられたり、遅刻した罰で叩かれ骨折していた過去などがあったことが判明。
三女の同級生とその保護者は、三女の将来の社会復帰に支障が無いような処遇を求める嘆願書と1万人以上の署名を提出。
これらの事情をうけ、札幌家裁は三女の完全責任能力を認め「結果は極めて重大」と指摘したうえで、母親と祖母からの虐待が動機に影響していたと認められ、刑事処分は相当ではないとし、医療少年院に送る決定が下されました。
今回の判決で注目を集めた「医療少年院」という施設ですが、あまり聞きなれない言葉であるためどのような施設なのかご存知でない方が多いかと思います。
そこで今回は医療少年院とは何のために設立された施設なのかをご説明します。
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医療少年院とは
医療少年院とは、精神や身体に疾患のある少年(少女)を収容し、専門的な治療を行いながら通常の少年院で行われる矯正教育を実施する施設です。
国内にある医療少年院は、関東医療少年院、神奈川医療少年院、宮川医療少年院、京都医療少年院の4つです。
この中でも関東医療少年院と京都医療少年院は、医療法上で病院として認められており、精神科や内科、外科、整形外科、産婦人科、泌尿器科などのすべての科があります。
精神医療分野に関しては、国内でもトップレベルの医師達が在籍しています。
医療少年院収容者の非行内容は薬物関係が多い
医療少年院は、比較的通常な少年と共に収容することによって引きおこる弊害を排除するために設立された少年院ですが、この施設の収容者の非行内容は薬物関係や殺人、放火などの凶悪な事件を起こした少年が多いです。
少年院への入院が決まった際に、何らかの治療を要する疾患を抱えている少年たちが送られてくることが多く、その殆どが抱えている内容は行為障害や精神疾患が主なものです。
また、上記以外にも知的障害者や情緒不安定者などに対し、個々に専門的な治療を行うことによって社会復帰を目指すことも目的とされています。
医療少年院で行われる治療
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医療少年院では薬物治療やカウンセリングを中心とした精神療法が行われます。
特に精神分野に関してはトップレベル医師が在籍しているため、そのカウンセリング方法は多岐にわたり、自己催眠のように少年の深層心理を見つめるものや、非言語的手段を用いたものなど様々です。
また、医療少年院では少年のみではなく、その家族を対象とした心理療法も行っています。
さいごに
未成年がおこす凶悪犯罪が後を絶ちませんが、彼らが持つ心の闇が原因となっているケースが非常に多いです。
少しでも多くの少年少女が、早く社会復帰ができるように立ち直ることができれば、と思います。