長野県の上伊那地方には、天竜川にすむ「ざざ虫」をつくだ煮にして食べる習慣がある。お土産用の高級珍味として観光客にも人気だ。昆虫の中でもかなり幅広い地域で食べられているイナゴや蜂の子と違い、ざざ虫を食べる地域は全国でほぼここだけ。なぜ長野県のごく一部にだけこうした食文化が残っているのだろうか。
伊那市中心部にある「塚原信州珍味」を訪ねると、ざざ虫のつくだ煮がイナゴや蜂の子などと並んでいた。値段は25グラム入りで1150円(税込み)。イナゴが200グラムで1000円(同)であるのに比べてもかなり値が張る。しかし「旅行客だけでなく、地元の方も買っていきます」。店主の塚原慎也さん(41)は話す。
ざざ虫とはトビケラ、カワゲラ、ヘビトンボといった川にすむ食用の虫の総称だ。体長は1~5センチ程度。実際に口に入れると、つくだ煮の甘辛さとともに、かすかなほろ苦さが感じられる。酒のさかなとしては格好の存在だ。
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ざざ虫自体は全国の川に分布しているが、上伊那地方のざざ虫は天竜川で取れたものだ。漁には天竜川漁業協同組合(伊那市)の鑑札が必要で、漁の期間は12月1日から翌年2月末まで。漁期を冬に限っているのは、さなぎになる前が一番大きくなることと、水温が下がると虫が餌である藻を食べなくなり、青臭さがなくなるためだ。
「虫踏み」と言われる漁法がまた独特だ。川石を集め、鉄製のかんじきで芋を洗うように踏むと、石の裏に付いている虫が水に流れる。そこを下流に置いた網で捕らえる仕組みだ。冷たい水の中で行う作業で、「続くのはせいぜい1日3時間くらい」と天竜川漁協の上條純敬組合長は話す。かんじきなどの道具に既製品はなく、漁師が鉄工所などに頼んで作ってもらっている。
なぜ上伊那地方にだけこうした文化が残っているのか。よく聞くのが「信州は山国だけに、動物性のたんぱく源として重宝された」という説。だがこの説に納得しなかったのが、伊那市職員で趣味としてざざ虫を研究、この分野の第一人者になった牧田豊さん(52)だ。「山国は信州だけではなく、十分な説明ではない」と主張する。
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