MERS:感染者訪問24病院名と患者数公表 死者5人に

毎日新聞 2015年06月07日 20時48分(最終更新 06月07日 23時18分)

 【ソウル大貫智子】中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスの感染が韓国で拡大している問題で、崔※煥(チェ・ギョンファン)経済副首相兼企画財政相(首相代行)は7日、感染者が訪れた全国計24カ所の病院名と患者数を公表した。混乱を招くとして非公表としてきたが、国民の不安が広がる中、さらなる感染拡大を防ぐために方針を転換した。ただ、最初に感染者が出てから18日後の公表となり、対応の遅れに政府への批判が強まっている。

 保健福祉省は7日、新たに14人の感染が確認され、うち75歳の男性が5日に死亡したと発表した。感染者は死者5人を含む計64人で、隔離対象者は計2361人。休校を決めた幼稚園・学校は計1869校に増えた。ソウル日本人学校(ソウル市麻浦区)は一部行事を中止したが、通常通り授業を行っている。

 崔氏が公表した病院リストによると、最初の患者が入院して院内感染が広がった平沢(ピョンテク)聖母病院(京畿道(キョンギド)平沢市)の患者数が最多の計37人で、次いで3次感染者が急増しているサムソンソウル病院(ソウル市江南区)が計17人に上った。該当する病院はソウル市から南西部・全羅北道(チョルラプクド)まで広範囲にわたっている。

 公表が遅れたとの指摘に対し、崔氏は、3日に朴槿恵(パク・クネ)大統領から公表を指示されたと明らかにしたうえで、病院名公表後の対応などに準備が必要だと釈明した。

 ただ、この日、いったん公表した病院名のリストを約3時間後に一部修正するなど混乱ぶりを露呈。政府の対応が遅いとして、各自治体の首長は、感染確定前に陽性反応が出た市民の足取りを公表するなど独自の対応を取っており、足並みの乱れが目立っている。

 こうした対応に国民の不信感は強まっている。世論調査機関・リアルメーターの5日発表の調査によると、MERSの政府対応が信頼できないとの回答は68.3%に上った。

※は「日」の下に「火」

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