東南アジアのタイ。薬中の男に”ザ・ビーチ”という楽園を教えられた若者3人。男1人+男女はカップル。彼らが訪れた”楽園”とは大麻畑が広がる島だった…。
その島では、大麻を売ればそれこそ売るほど金がある。だが自給自足でありプラスして誰かがケガをしても医者もいない。”楽園”に住民を増やしたくない現地民は医者さえ連れてこなかった。やがて、この島に築かれたやって来た人々たちの”コミュニティー”v.s.現地民の…。
「トレインスポッティング」で大ブレークしたダニー・ボイル監督が「普通じゃない」以来メガホンを取り、「仮面の男」以来2年ぶりの主演となる「タイタニック」のレオナルド・ディカプリオを主演に添えたスリラー。ティルダ・スウィントンが手に入れた楽園を離すまいとする姿が引かれる。
- 主要登場人物配役(役名/俳優)
- リチャード/レオナルド・ディカプリオ
- サル/ティルダ・スウィントン
- エチエンヌ/ギョーム・カネ(ギヨーム・カネ)
- フランソワーズ/ヴィルジニー・ルドワイヤン
- ダフィ/ロバート・カーライル
<ストーリー>(あらすじ,内容,ネタバレ,ラスト,詳細)
東南アジア・タイ、アメリカ人青年リチャードは休暇でやってきた。大きな人々の群の喧噪を彼は楽しんでいた。そんな彼が滞在したホテルでダフィという男性に出会う。ドラッグ中毒で精神的におかしくなっていたダフィは、リチャードに”ビーチ”について話をする。そこはこの世の天国のような素晴らしい楽園だという。次の日、リチャードは自分の部屋のドアにピンで留めてある地図を見つける。その地図は例の”ビーチ”の場所らしい。そこでリチャードはダフィの部屋を訪ねると彼は自殺をしたあとだった。
楽園について半信半疑のリチャードだがダメ元で探すことを決意、同じホテルに滞在中のフランス人カップルのエチエンヌとフランソワーズを誘い楽園探しに出かける。地図に載る楽園のある島は孤島、もちろんツアーなど出ていない。エチエンヌの手配でその島の隣の島まではなんとか来れた。そして泳いでやっとたどり着いた島はジャングル。そこを抜け出してみると眼前に広がるは大麻畑。うかれる3人だったが、そこには銃を構えた男達がいた。なんとか見つからずにそこをやり過ごす3人。さらに歩を進めると滝にやってきた。下は湖。どうしようかと悩み、リチャードとエチエンヌはケンカになるが、フランソワーズが勇気を出して飛び込み安全だとわかり2人も飛び込む。浮かれる3人の前に男が現れ3人の勇気に感服し自分たちの”コミュニティ”に案内した。そこではたどり着いた人々が共同生活をしていた。もちろん電気などなく、捕った魚などを食料として自給自足をしている。金は大麻を売って稼ぎ、日用品で足りなくなったものがあれば近くの島まで買い出しに出かける。そんな生活を女性リーダーのサルが仕切っていた。
リチャード達3人はすぐに受け容れられ、世界で一番美しい”ビーチ”に案内される。そこはまさに美しい以外の何者でもなかった。サッカー、ビーチバレーなど思い思いの娯楽を楽しむ人々。サルから、銃を持った男達は大麻を売る農民達で、互いに関わらない協定と、これ以上コミュニティの住民を増やさないと言う契約を結んでいるとリチャードは言われた。
島の生活は楽しいが何か足りない、そう考えていたリチャード。足りないのは恋人、リチャードはフランソワーズのことを気に入っていたのだ。しかし彼女にはエチエンヌがいる。巧くいかないのか?そう思っていたが彼女もリチャードのことが気に入っていて、”ビーチ”で体を重ねる2人。このことをエチエンヌには内緒と言うことにしたが、彼は2人の中を薄々気づいていた。だが、彼女の幸せを第1に考えるエチエンヌは2人の中を認める。
恋人もでき最高の生活を送っていたリチャードが買い出しのためにサルについていくことになった。着いた島ではかつての喧噪が支配し、島の生活とは天と地の差ほどの虚無感を感じるリチャード。そんな中、滞在中のホテルでサルに誘われて彼女と寝てしまうリチャード。
島に戻り再び素晴らしい日々を送るリチャード。だがコミュニティの”非情さ”も顔を出す。鮫によって住民3人が大けがを負ったのだ。もちろん医者はいない。他の島へも怪我がひどくて運べないために医者をこの島に呼んで欲しいとけが人はサルに頼むが、”楽園”のことがばれるために拒否される。やがて2人が死に、クリストフが重傷で虫の息ながら生きていた。しばらくは自分たちの寝る小屋に彼を置いておいたが、彼のうめき声などで嫌気がさした住民達はなんとクリストフをジャングルに置き去りにした。心やさしいエチエンヌは一人、彼を看病する。そして、再び楽園の生活に戻る住民達。
そんなある日サルに呼び出される。双眼鏡で隣の島を見てみるとそこにはこの”ビーチ”を目指す若者4人がいた。リチャードは彼らに地図のコピーを渡してしまっていたのだ。サルは、若者を監視するようにリチャードに命じ、来たら追い返すようにと言いジャングルに置き去りにした。また、サルと寝たことがフランソワーズに知られて振られてしまう。孤独感に次第に心を病んでいくリチャードは、農民達の家に忍び込み銃をいじったり、コミュニティのみんなの食料を盗ったりする。そして住民達に見放されていく。
やがて例の若者達が島にやってきた。しかし彼らは農民達に殺されてしまった。正気に戻り危機を感じたリチャードはエチエンヌとフランソワーズに会い、この島を出ようと提案する。だがそこへ農民達が乗り込んできた。若者達が地図を持っていたために、”これ以上住民を増やさない”という約束を守らなかったと思われた為だ。サルは、地図を渡したのはリチャードだと農民達に言う。彼らは「楽園にいたければリチャードを撃て」と一発だけ弾丸のこもった銃をサルに渡す。やっと築いた楽園を去りたくないサルはリチャードを撃つ!だが弾は発射せず助かったリチャード。それを見た住民達は一斉に楽園を去る。ここにはサルだけが残った。そしてリチャード達は元の現実の世界へと帰っていくのだった。
<感想>(紹介,レビュー,批評,評論,解説)
「シャロウ・グレイブ」、「トレインスポッティング」、「普通じゃない」のダニー・ボイル監督、アンドルー・マクドナルド(製作)、ジョン・ホッジ(脚本)が4度目の手を組んだドラマで、アレックス・ガーランドの小説を元にした映画。主演は「タイタニック」のレオナルド・ディカプリオ。彼がリチャードを演じる。他にフランス人カップル、エチエンヌとフランソワーズにそれぞれギョーム・カネ、ヴィルジニー・ルドワイヤンが扮し、ダフィにロバート・カーライルが扮する。カーライルは「トレインスポッティング」に出演している。また、今は「フィクサー」でアカデミー助演女優賞を受賞しているティルダ・スウィントンがサル(≠猿)を演じている。
久しぶりのディカプリオ主演作品となる今作、脚本に惚れ込んだ彼は監督達の誘いもあり出演した。そんな彼は生き生きした現代の若者から、狂気にみちる男まで好演している。内容はまあ現実離れした突飛なものだけど、現代人の不満、あこがれや現代社会への警鐘がそれと明に分からないように盛り込まれている脚本に共感した。劇中にはゲームを模したカットも盛り込まれ遊びが感じられる作品だ。
ディカ君の裸や情事のシーンが多数登場し、女性ファンにとっては複雑な心境だろう。だが、この作品でそんなものではない役者として良い演技を見せたと思った。
by toikun.
2000/05/21