巨大地震:500年周期か 15世紀にも東北地方襲う

毎日新聞 2015年05月22日 19時38分(最終更新 05月23日 01時28分)

地層から享徳地震の津波とみられる堆積物が見つかった場所
地層から享徳地震の津波とみられる堆積物が見つかった場所

 ◇「1000年に1度」と言われる巨大地震だが…

 東日本大震災並みの津波が起きたとされる平安時代の貞観地震(869年)に匹敵する巨大地震が、15世紀にも東北地方太平洋沿岸を襲ったことを示す津波堆積(たいせき)物が見つかったとの研究結果を、産業技術総合研究所(茨城県つくば市)の沢井祐紀主任研究員(古地震学)らがまとめた。「1000年に1度」と言われる巨大地震は、より短い間隔で起きていた可能性があるという。

 24日から千葉市で始まる日本地球惑星科学連合大会で発表する。

 東日本大震災は、地震の規模を示すマグニチュード(M)9.0。貞観地震は推計M8.4で、それ以前にも4〜5世紀、紀元前4〜3世紀に、この地域で大きな地震があったことが地層調査などから推測されている。

 沢井主任研究員らは、仙台市若林区と宮城県山元町の地層を調査。海から運ばれた砂の薄い層を見つけ、15世紀初頭〜17世紀初頭の津波堆積物と特定した。

 山梨県内の寺院が著した古文書には1454(享徳3)年に東北地方の太平洋沿岸で地震と津波が起きて犠牲者が出たとの記述があり、別の古地図には津波で生まれたとみられる池も記録されている。この当時の海岸線を復元した上で、貞観地震と同規模の地震が仙台湾沖で起きたと仮定してシミュレーションをしたところ、津波の浸水範囲と今回見つかった津波堆積物の場所が重なった。享徳地震もM8.4かそれ以上の規模だったと考えられるという。

 沢井主任研究員は「貞観地震以前の地震の頻度も考慮すれば、東日本大震災までに約500年周期で地震が起きていた可能性がある。採掘調査の範囲をさらに広げて、享徳地震の規模を明らかにしたい」と話す。【久野華代】

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