大阪都構想:否決…橋下氏「政界引退」市長任期後に

毎日新聞 2015年05月17日 22時45分(最終更新 05月18日 07時18分)

記者会見で笑顔を見せる大阪維新の会の橋下徹代表(左)と松井一郎幹事長=大阪市北区で2015年5月17日午後11時54分、貝塚太一撮影
記者会見で笑顔を見せる大阪維新の会の橋下徹代表(左)と松井一郎幹事長=大阪市北区で2015年5月17日午後11時54分、貝塚太一撮影

 大阪市を廃止し、五つの特別区に再編する「大阪都構想」の賛否を問う住民投票は17日、投開票された。反対が70万5585票で賛成の69万4844票をわずかに上回り、都構想は否決された。廃止されるかどうかで揺れていた大阪市は存続することになった。都構想を提唱してきた橋下徹大阪市長は大勢判明後の記者会見で「市長の任期まではやるが、それ以降政治家はやらない」と述べ、12月の任期満了で政界を引退する考えを表明した。投票率は66.83%だった。

 都構想は、橋下市長が大阪府知事時代の2010年、大阪府と大阪市の二重行政解消を目指して打ち出した。都構想の実現を掲げる地域政党「大阪維新の会」を設立し、他党の反発を受けながらも5年かけて住民投票にまで持ち込んだ。「都構想が否決されれば、政治家を辞める」と退路を断って臨んだが、最終局面で市民の支持を得ることに失敗した。都構想の頓挫は維新に大きな打撃で、国政にも影響が出そうだ。

 住民投票は、3月に府と市の両議会で承認された特別区設置協定書(都構想の設計図)に賛成するか反対するかが問われた。12年に議員立法で成立した大都市地域特別区設置法に基づくもので、投票率にかかわらず結果には法的拘束力がある。有権者は大阪市に住む20歳以上の約210万人で、住民投票としては過去最大規模だった。

 協定書では、17年4月に人口約270万人の大阪市を人口34万〜69万人の「北区」「湾岸区」「東区」「南区」「中央区」に再編すると定めた。各特別区の区長は選挙で選ばれ、予算編成権を持ち、定数12〜23の区議会も置くとした。大阪市の仕事のうち、都市計画やインフラ整備といった広域行政は府へ移し、東京都のように都市戦略を一元化。小中学校や保健所、生活保護など住民に身近な行政サービスは特別区が引き継ぐ仕組みだった。現在の24区役所は支所となって窓口サービスを担うとしていた。

 維新は都構想の実現を掲げて11年の大阪府知事・大阪市長のダブル選を制し、府市に専門部署を設けて協定書作りに着手した。昨年7月、法定協議会で反対派の委員を排除して維新単独で協定書を作成したものの、同10月の両議会で否決された。しかし、同12月の衆院選で維新が府内で比例第1党を確保したことを受け、公明党が住民投票の実施容認に方針転換。市民の投票で決着をつけることになった。

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