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今回も「AKB総選挙」で大量票!? 中国人が夢中になる2つの理由〈dot.〉

dot. 6月5日(金)16時5分配信

 AKBグループによる41枚目のシングルの選抜メンバーを競う「第7回選抜総選挙」の開票イベントが、6月6日に福岡ヤフオクドームにて開催される。

 AKB総選挙では、投票権はCD1枚を買うことで1票が得られる。ファンの投票数により、新曲を歌うメンバーを選出し、最多得票者が「センター」に選ばれるというシンプルな仕組みのため、自らの“推しメン”(推しているメンバー)を勝たせようと何百枚、何千枚とCDを購入し、投票するという熱いファンも続出している。

 さらに近年、同選挙で「中国票」が大量投入される事態となっているのをご存知だろうか。

 たとえば昨年6月の「第6回選抜総選挙」では、1位に輝いた渡辺麻友の得票数15万9854票のうち3万5000票余りは中国のファンによる投票で、結果を左右する決定的な役割を果たしている。また、一昨年に開催された前々回の「第5回選抜総選挙」でも、1位に輝いた指原莉乃に9108票の“チャイナ票”が投じられているのだ。
 
 産経新聞の元中国総局特派員で、フリー記者の福島香織氏は、新著『本当は日本が大好きな中国人』の中で、この件についてこう触れている。

「中国のAKBファンのものすごさについては、『そのうち腎臓を売るやつがでてくるぞ』といった揶揄が出てくるほどである。(中略)こういう若いファン心理を狙って、中国では早くも投票権転売ビジネスが流行し始めている。第6回選抜総選挙前には、中国人ブローカーは在日中国人ネットワークを使って組織的に大量にCDを買い込み、『淘宝(タオパオ)』などのショッピングサイトで投票権などを売り出していた」(同書より)

 投票権を巡り転売ビジネスが横行するほどAKBに「ハマる」ファンが増えているという中国。その背景について、福島氏は2つの理由を挙げる。ひとつは選挙制度。自らの力で、推しメンを舞台に乗せる「民主主義的手法」は、政治において事実上選挙権のない中国の若者を夢中にさせるのだという。

 もうひとつは「ロリ」や「萌え」といった日本から入ってきた「新しい美意識」が、徐々に市民権を獲得していること。このふたつが、AKBブームを支えているというのだ。

 福島氏は、さらにこう深く切り込む。

「AKB48ブーム以前にも、実は日本の小学生アイドルが『萌える』として、中国の一部ネットユーザーの間で話題になったことがあったから、もともと少女の未成熟美を礼賛する素地は中国人にもある。ただ、それはむしろ淫靡なイメージがあり、一つ間違えれば幼児ポルノ犯罪につながり、大っぴらにその趣味を公言できない。それを、大っぴらに『成長を応援』という表現で公式メディアにも取り上げられるようにしたのが日本のアイドル文化であり、AKB48であり、だからこそAKB48ファンは日本人も中国人も『いやらしい目では見ていない。彼女らの成長する姿を見るのがうれしいだけ』と強く主張するのかもしれない」(同書より)

“リアルな中国”を知る福島氏による中国人のAKBブームの背景。今回の総選挙でも、中国からの大量票は必至であろう。それが結果にどう影響を及ぼすのか……ファンならずとも興味深い。

最終更新:6月5日(金)16時53分

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