2014年の合計特殊出生率は1.42となり、9年ぶりに低下したことが厚生労働省の人口動態統計で分かった。鹿児島は前年を0.1ポイント下回る1.62だった。
合計特殊出生率は女性1人が生涯に産む子どもの推定人数を示す。実際の赤ちゃんの出生数は100万3532人で、前年より2万6284人減り過去最少を更新した。
人口減少が加速する日本にとって少子化対策は最優先課題だ。若い世代が安心して家庭を持ち、子育てできる環境づくりに向け、官民は危機感を持って取り組まなければならない。
死亡数は最多となり、死亡数から出生数を引いた人口の自然減も26万9000人台と過去最大だった。極めて深刻な事態だ。
第2次ベビーブームの40年前と比べて出生数は半減した。15年にも100万人の大台を割り込む恐れがある。
出生数の低下に歯止めがかからないのは、長年の少子化で20~30代の女性が減ったことが大きい。若者数の減少に伴って結婚したカップルも戦後最少だった。
特徴的だったのは第2子の出生減だ。約1万4700人と減少数全体の半分以上を占め、第1子、第3子以上に比べて突出している。減少幅も13年の約5倍、12年の約12倍に達した。
背景にあるのは「第2子の壁」と呼ばれる課題だ。第1子出産後に育休を取得したのに再び取ることへのためらいがあるとされる。
少子化対策には、産みたいと思う女性が産める環境を整えることが重要だ。休職や復職しやすい職場の環境づくりを進めるとともに、男性の勤務先も長時間労働の解消に努めるなど子育てへの協力が欠かせない。
非正規で働く人も多い。経済的に余裕がないため、結婚や出産に踏み出せない人は少なくない。雇用の安定は急務だ。待遇改善や正社員化など企業側の一層の努力を求めたい。
政府は3月に決定した少子化社会対策大綱で、若者の結婚支援や働き方改革などを重点課題に掲げた。男性の育児休業取得率を大幅に引き上げるなど、数値目標を明示した。
問われるのは実効性だ。具体的な道筋を早急に示すべきだ。
日本は欧米に比べ、育児支援への社会保障費の支出比率が低いという。高齢者対策に重点を置いてきたからだ。
将来の社会保障制度の担い手を増やす観点からも、育児支援の財源について本格的な検討が必要だろう。
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