バイト・シゴトのなんでもガイド channelプラス

TOP>シゴトノオト

シゴトノオト

シゴトがうまくいくヒントがありそう!人気のコノ人に「シゴト」について聞きました

月曜更新

歌舞伎俳優 尾上松也 メイン画像

今イチバン聞きたいこの人のシゴトのコト

歌舞伎俳優 尾上松也 Matsuya Onoe

Matsuya Onoe

おのえまつや 1985年1月30日生まれ、東京都出身。5歳で『伽羅先代萩』の鶴千代役にて、二代目尾上松也の名で初舞台。現在はさまざまな分野でも活躍しており歌舞伎公演以外にも活動の幅を広げている。2009年より歌舞伎自主公演『挑む』を主催。歌舞伎公演以外の主な出演作には舞台『ロミオ&ジュリエット』、『スリル・ミー』、『騒音歌舞伎 ボクの四谷怪談』、TVドラマ「永遠の0」、映画「源氏物語」ほか。今年8月8日には7回目の歌舞伎自主公演『挑む ~更なる幕へ勇みし気迫(こころ)~』を神奈川芸術劇場にて開催。

失敗を活かす努力をすれば
成功よりも失敗のほうが必ず成長できる

歌舞伎俳優・尾上松也は舞台の上に生きている。
しかし近年、そのシゴトは舞台の上にとどまらず、ときに人を笑わせ、ときに歌声まで聞かせてくれる。
「自分の経験を歌舞伎に還元したい」そう彼は繰り返す。
今、「芸能」という言葉は華々しいものの象徴で、同時に安易に軽薄に使用されることが増えた。
そんな時代だからこそ、この言葉の本来の意味を取り戻し、体現する。
彼の存在は希有で、そのシゴトはほかの誰にもできない困難で有意義なものになってゆく。

自分の意志で歩み始めた
歌舞伎俳優の道

5歳から舞台の上に立たせてもらっています。父(六代目尾上松助)の襲名披露公演に息子がいるなら一緒に、と急遽出演させていただいたのがきっかけですが、それ以降、舞台の話が来るたびに両親は僕にどうしたいか、という確認は毎回してくれていたようです。おぼろげながらも「やりたい!」と答えたのは覚えています。ですので親が無理矢理、という道ではなかったですね。この世界、よく「特殊ですよね」と言われますが、実はそんなことはないと思っています。

もちろん独特の決まりごともあり「礼儀が厳しい」とも言われます。ですが、どの世界も礼儀のベースは同じで、それはどんなシゴトも共通だと思います。最近はこんな風に思えるようになりましたが、実は幼いころからシゴトをしていても、僕が本当の意味でしっかりとシゴトに向き合ったのは、父が亡くなった二十歳のときです。父という後ろ盾を失い、ひとりの社会人として、大人として自立ということを本格的に意識するようになりました。家族もいますし、お弟子さんもいます。自分が柱になって彼らを支えていくにはどうしたらいいかと考える必要があった。逆に言えば、それまでは立派にやっているつもりではいましたけれど、何ひとつわかっていなかったですし、どれも真剣に取り組んでいたとは言えなかったかもしれません。父は立役が多く、当時の僕は女形だったので具体的な芝居のアドバイスは、もらったことはありませんでしたが、結果的に父に尻を叩かれたような気はしています。


役者、音楽、物語、衣裳
歌舞伎の楽しみのススメ

おかげさまで、最近は歌舞伎以外のジャンルでもいろいろなシゴトが増えました。歌舞伎は基本的に大仰な表現方法が基本です。何をするにも少し大袈裟に動いたり声を出したりします。何よりも劇場で大勢のお客さんに届くように表現するのと、カメラの前に立つのではまったく違い、そこが難しいですし、楽しいですね。その中で一役者としてチャンスがいただけるなら、自分の可能性や幅のようなものに興味もありますし、どこまで通用するのかどんどん挑戦をしていきたいです。ただ、どの現場でも歌舞伎に対する感謝と自分の基礎は歌舞伎でできている部分、それらを誇りに思っていることを忘れずにシゴトをしています。それを前提に僕の活動を通して「この人、誰なんだろう?」でも構いませんから、誰かが歌舞伎に興味を持つきっかけになってくれれば、とも思っています。先日、僕がきっかけで歌舞伎を観るようになったというファンのかたから「あれから何度も観に行ってます。ありがとうございました」というお手紙をいただいて、うれしかったですね。そうやって種を蒔いて、網を仕掛けて(笑)、少しでも多くのものを歌舞伎に還元したいですね。僕がきっかけで歌舞伎座に来てくれて、ほかの役者さんカッコいいな、でももちろんうれしいです。ほかにも音楽がいいとか、物語自体を楽しむとか、衣裳がきれいだとか、ツケ打ち(注)がおもしろいとか、歌舞伎は見どころや視点が多いのも魅力的なところです。未経験のかたや若い世代から「敷居が高そう」「事前に勉強しないと楽しめないのでは」という声を聞くこともありますが、劇場でも予習はできます、筋書(プログラム)や『イヤホンガイド』もあります。難しい言葉も確かにありますが、同じ日本人が日本語で演じているので大丈夫ですよ。そもそも歌舞伎は、江戸時代に起こった一般娯楽ですから、誰にでもわかりやすいようにつくられたエンターテインメントでもあるわけです。ぜひ気軽に観に来てください。

歌舞伎俳優 尾上松也 サブ画像

心配しないでください
歌、ちゃんと歌えます

ミュージカルに出ます。「歌、ちゃんと歌えるの?」と心配してくださるかたも多いのですが、歌は大好きですし、過去にも3本、ミュージカルに出ているくらいですから大丈夫ですよ(笑)歌舞伎では歌うことはないですが、ミュージカルで歌とセリフと音楽がバチっとハマったときの高揚感は歌舞伎とはまた違う気持ち良さがあります。今回もその感覚を得て、その結果「やっぱり歌舞伎俳優って、やるなあ」「こんな感じの表現ができるなら、歌舞伎も観てみよう」とお客さまに思っていただけるようにしたいですね。その思いがエネルギーになっています。

今後も歌舞伎に還元したいという気持ちを持ちながら、目の前のシゴトを大切に、危機感もしっかり持ち、やりたいこと、やりたい役、したたかに狙っていきたいですね。ただ、僕は器用なほうではないので、失敗することも多いんです。ですが、人間は成功を重ねるより、失敗から学ぶほうが伸びるとも思っています。少なくとも僕は、自慢じゃないですが、人に怒られて支えられて成長してきました。怒られるのは嫌ですが、それを避けることだけを意識をしていると、それだけの人になってしまう恐怖もあります。苦労も苦痛も味わうかもしれませんが、そのぶん人間としても役者としても幅が広がり、人への思いやりも持つことができる。今後も失敗しつつ、それを活かす努力をしながら表現を続けてゆく。今はそう思っています。

(注)芝居中に舞台上手(かみて=右側)の際に黒い「たっつけ」姿の者が座り、「バタバタ」と木を打って大きな音を出す歌舞伎ならではの演出法で、これを「ツケ」といい、「ツケ」を打つ者を「ツケ打ち」という

『エリザベート』
上演1000回を超える超名作に参加 ミュージカル『エリザベート』 6月13日(土)~8月26日(水) @東京・帝国劇場

松也さんが演じるのは狂言回し役のルイジ・ルキーニ。「観客として何度も観てきた作品で、この作品に出るのが念願だったんです!」と。歌って踊る尾上松也に注目だ。
オフィシャルサイト ➡ www.tohostage.com/elisabeth/

このエントリーをはてなブックマークに追加

ページ上部へ戻る

アルバイト・社員求人満載!シゴト情報「an」

anan
アルバイト・バイト・求人情報のan

全国のアルバイト・バイトの求人情報探すなら「an」(アン)。
希望の条件からアルバイトが探せます。

anエリアanエリア
アルバイト・パート探しはanエリア

アルバイト・パートを探すならanエリア。
自宅周辺や通勤・通学経路などからアルバイトを探せます。

anレギュラーanレギュラー
正社員の求人情報ならanレギュラー

求人情報はanレギュラー。 正社員、契約社員、週5日のアルバイトなど職種や働き方で探せる求人情報。

INTELLIGENCE