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政府とソウル市長が対立=MERS対応、国民怒り―韓国

時事通信 6月6日(土)17時21分配信

 【ソウル時事】韓国で感染が拡大している中東呼吸器症候群(MERS)への対応をめぐり政府とソウル市の対立が激化している。6日付の韓国紙は「こんな大変なときに衝突」(ソウル新聞)、「国家的危機を前に二つの政府」(毎日経済新聞)の見出しで、国民の怒りの声を伝えた。
 政府の情報提供不足に反発し、朴元淳ソウル市長は4日夜に緊急記者会見を開き、MERSに感染した医師が感染直前に約1500人が参加する会合に出席したと公表。国民の間に一気に不安が広がった。
 文亨杓保健福祉相は5日の記者会見で「ソウル市が一方的に立場を発表し、不必要な誤解と懸念を招き、誠に遺憾だ」と批判。朴槿恵大統領も5日、「自治体や関連機関が独自に解決しようとすると混乱を招く」と不快感を示した。
 これに対し、朴市長は6日に再度記者会見。感染者が出ている市内の病院の実態調査を独自に行う考えを表明し、病院が協力しない場合「市長としてあらゆる措置を取る」と強調した。さらに政府に対しても、感染判定の権限を市に与えるよう求めた。
 朴市長は2017年の次期大統領選挙の野党系有力候補の一人と目されており、ソウル新聞は一連の言動は「大統領選を念頭に置いた動きでは」と疑う声を紹介。MERSへの対応が政治に利用されていると伝えた。 

最終更新:6月6日(土)21時36分

時事通信