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OPEC生産据え置きで合意 定例総会「シェールオイル」へ対抗
石油輸出国機構(OPEC)は5日、原油生産目標を決める総会をウィーンの本部で開き、昨年11月の前回総会に続き、日量3千万バレルの目標の据え置きで合意した。米国の新型原油「シェールオイル」に対抗して販売シェアを維持する狙い。ただ、シェール各社も高い生産量を維持しており、両者の争いは持久戦に入りつつある。
これまで、イランのザンギャネ石油相が生産目標変更の可能性は低いとの見方を示すなどしており、市場では「減産は見送られる」との見方が大勢となっていた。
前回総会の直後は原油価格の下落が加速し、昨年7月まで1バレル=100ドルを超えていた米国原油先物価格は、今年3月には42ドルまで下落した。採算割れを起こしたシェール業者の一部が経営破綻に至るなどし、シェールオイルの生産は頭打ちになりつつある。
ただ、石油元売り幹部によると「金融緩和による余剰マネーがシェール業者の資金繰りを支え、破綻は限定的」で、割高な掘削コストも「半年で3割ほど下がった」ため、高い生産レベルは維持されるとみる。
これに対するOPECの危機感は強い。とくに盟主サウジアラビアは1980年代、非OPECの原油供給が拡大した際、減産したが価格下落を食い止められず、シェアも失った苦い教訓がある。「同じ過ちを繰り返さない決意は固い」(市場関係者)という。
今後の原油価格は予断を許さない。中東情勢の悪化は原油高の材料になるが、シェールオイルの生産継続やOPECの増産は供給過剰による下落要因となる。市場による年内の価格予想も50ドルから70ドルまで幅がある。国際エネルギー機関(IEA)は5月のリポートで「(OPECと米シェール企業の)戦いは始まったばかり」と指摘した。