◎毎月、賃金が変わる トヨタが工場に成果主義

 トヨタ自動車が、工場で働く労働者に本格的な成果主義賃金を15年1月から導入しようとしています。大企業の成果主義賃金は、通常は年ごとに変わりますが、トヨタの場合は毎月賃金が変わるという究極の成果主義です。

 5月21日に開かれた労使の人事施策検討委員会、賃金分科会で、会社が明らかにしたもので、トヨタ労組の「評議会ニュース」(6月1日付)で報告しています。それによると、労働者の働きぶりを「規律性」「協調性」「積極性」「責任性」の4つで評価する「技能発揮給」を新たに設けます。

 働きぶりは、「期待どおりの働きぶり」を標準点(0点)とし、+3~-2点の6段階で評価するとしています。標準額は7万円で、1点あたり1万円です。最高の+3評価では10万円、最低-2点では5万円となるために、5万円もの差が付くことになります。

 また、「顕著な頑張り」には、各部の10人に1人に加点原資と1点を設けるとしています。来年1月からの導入ですが、当初の6カ月は全員に7万円を支給することから、7月から評価を反映するとしています。

トヨタの労働者と成果主義賃金
(出勤するトヨタの労働者)

 トヨタは導入のねらいについて、「モノづくり競争力」を守り抜いていくために、資格・年齢にかかわらず、「能力を十二分に発揮できている方に報い、できていない方に奮起を促すことを目的」としているといいます。「直近の『働きぶり』を評価し、直近の処遇に反映する制度」のために、「基本的に毎月評価を実施する」といいます。

 トヨタは、4つの評価の具体例として次のようなことをあげています。

 ・「規律性」 会社規則や安全・4Sに関する職場ルールを守ることなど、職場規律の遵守度合い。
 ・「協調性」 組織全体の仕事がうまくいくように、他のメンバーの仕事に協力・サポートすることなど、職場のチームワークにプラスとなる行動の度合い。

 ・「積極性」 自発的に或いは周囲のアドバイスに基づき、知識・技能の習得に取り組むことや、新しいテーマや高い目標に意欲的に取り組むなど意欲・姿勢の度合い。
 ・「責任性」 付与された業務を最後までやり遂げることや、報告・連絡・相談を適時・適切に行うことなど意欲・姿勢の度合い。

 成果主義賃金は、富士通が1993年に導入し、大企業職場に広がりました。労働者同士で賃金を奪い合わせることで、労働者全体の総人件費を抑えることを目的にしています。富士通では、労働者の働く意欲は低下し、チームワークも乱れるなど弊害が噴出し、何度も手直しをしています。
職場は今 | コメント(5) | トラックバック(0) | 2015/06/05 13:15
コメント
No title
中日新聞には労働組合は経営側に一定の理解を示しつつ「評価の結果次第で賃金水準が下がることは組合員の安心感に影響する」と伝えている。組合も懸念しているんであれば、反対する姿勢が必要でしょう。頑張りすぎて過労死の温床になりかけない制度だと思います。
No title
写真撮影の許可はありますか?門の外側でも写真を見る限り会社敷地内からの撮影ですよね。
トヨタの場合、総額は減らないよね。
これまでの額を、能力や成果に応じてシェアしあうだけだよね。
ただ、これまでの経験からすると、現場を離れている人は、少し不利だけどね。
No title
これって良く分からんが職能給が「技能発揮給」に変わった制度ですか?
No title
きょか、キョカ、きょか、キョカ…

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