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【社説】

伊勢志摩サミット 日本らしさを伝えたい

 来年、日本で開く主要国首脳会議の開催地が三重県志摩市に決まった。伊勢神宮に近く、日本文化への理解を深めてもらう絶好の機会となろう。自然との共生、歴史と平和を考える場としたい。

 日本でのサミット開催は、来年の伊勢志摩で六回目となる。

 これまで五回の開催地は、一九七九、八六、九三年と東京が続いた後、二〇〇〇年が沖縄、前回〇八年が北海道だった。地方での開催は、日本のさまざまな姿を世界に発信する好機ともなる。

 伊勢志摩サミットの主会場は、風光明媚(めいび)な英虞湾に浮かぶ賢島のホテルとなる見通しだ。

 会場に選ばれた理由の一つは、警備のしやすさである。

 欧米のリーダーが集結する場を狙ったテロを許すことは、絶対にあってはいけない。その点で、賢島は、出入りする手段が限られているため、人の動きを把握しやすい。警察庁は、警備上の観点から望ましい開催地として賢島を官邸に推薦していた。

 こうした地の利を生かし、まずは、決して不測の事態を許さぬサミットとなるよう望みたい。

 警備しやすい小島である、という以上に生かしたい地の利は、日本の歴史や文化を考える上で忘れることのできぬ伊勢神宮がすぐ近くにあることだ。

 日本の文化、伝統は、再生される自然の力を生かし、自然と共生しながら築かれてきた。一昨年の式年遷宮で、わたしたちがあらためて感じたことである。

 つまり、サミット開催地たる伊勢志摩は、日本屈指の観光地、保養地というだけではない。参加する各国首脳には、ぜひとも、伊勢神宮が伝えてきた日本らしさに触れてもらいたい。

 国際社会には今、テロの脅威、揺れ動く国際秩序など主要国が知恵を出し合わねばならぬ課題は山積している。地球温暖化対策も避けては通れない。来年も、大きな流れは変わっていないだろう。

 だからこそ、豊かな自然と深い伝統に包まれた伊勢志摩から、国際問題への新たな視点が生まれることを期待したい。

 目先の経済対策ばかりに追われるのではなく、自然との共生、歴史の知恵などに議論を広げるにふさわしい舞台ではなかろうか。議長国である日本には、平和国家の名に恥じぬ議事運営を目指してほしい。

 日本らしさに恵まれた伊勢志摩でのサミットである。実り多い議論を期待し、温かく迎えたい。

 

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