MERS(中東呼吸器症候群)の確定患者が35人に増える中、市民の不安の兆しが街のあちこちに表れている。
4日までに確認されたMERSの確定患者35人のうち27人が発生したといわれる京畿道西南部地域。ここを通過する都市鉄道・地下鉄は緊張に包まれている。4日午前、忠清南道天安と牙山を出発し、平沢・水原など京畿道西南部を通過してソウルに向かう首都圏電鉄1号線は、いつものように通勤客で混雑していた。ところがMERS問題の余波で、大勢の市民がマスクを着けていた。午前7時、平沢駅の待合室で列車を待っていたおよそ30人の乗客のうち、20人以上がマスクを着用していた。
車内の雰囲気も沈んでいた。烏山駅で乗車した22歳の大学生は「(最初にMERSの確定患者が発生した)平沢を経由する列車なので不安だが、大学まで行くバスがないため、仕方なく電車に乗った。試験期間なので徹夜して体の具合も良くないため、もしかするとMERSに感染するかもと思い、昨日からマスクを着けている」と語った。この客車の優先席に座っていた高齢者がせきをすると、周囲に立っていた3、4人の乗客が顔をしかめ、腕で口や鼻を覆いながら一歩後ずさった。
ソウルや首都圏各所の地下鉄でも、市民はデリケートな反応を見せた。地下鉄2号線新道林駅で乗り換えてソウル市駅三洞に向かうという29歳の通勤客は、この日、車内でせきをしたところ、ある女性からにらまれ「手で口を覆ってせきをしてください」とたしなめられた。この通勤客は「口を覆わなかったのは間違いだったが、せき払いを1回しただけで病人扱いを受けた」と落胆していた。
市庁近くに通勤している27歳の会社員は「MERS問題が長引いたら、神経衰弱にかかりそうだ」と語った。マスクを着けたこの会社員は「朝の通勤のとき、満員の車内でマスクを着けた人は多くないため、突然不安になったり、鼻や口に触れた手で電車の手すりをつかむのを見て、電車から降りたくなったりする」と語った。オンライン上も「きょう、地下鉄で誰かがせきをしたので、周りの人が『紅海が割れるように』道を開けてくれた」など、地下鉄で経験したMERS問題の余波であふれかえっている。
一方MERSの余波は、一部の地下鉄の行商人にとって思わぬ特需となった。4日、首都圏のある電鉄内でマスクを売っていた商人は「出勤時間を除く時間帯は乗客が大幅に減るが、売り上げは逆に増えた。普段の売り上げは10万ウォン(約1万1200円)程度だが、おとといからは50%以上も売り上げが増えている」と語った。