【6月6日 AFP】イラクの故サダム・フセイン(Saddam Hussein)元大統領の側近だったタレク・アジズ(Tareq Aziz)元外相が5日、病院で死去した。79歳。

 アジズ元外相は流ちょうな英語を駆使し、フセイン元大統領のスポークスマンとして、同政権の外交の「顔」役を務めた。

 フセイン政権の中で唯一のキリスト教徒だったアジズ元外相は、1980年代にイスラム教シーア派(Shiite)などへの弾圧に関与したとして「計画殺人と人道に対する罪」で2010年10月に死刑判決を言い渡された。

 同元外相が収監されていた刑務所があるディカル(Dhi Qar)州の保健当局の医師はAFPの取材に対し、「タレク・アジズ氏は午後3時にフセイン教育病院(Hussein Teaching Hospital)に到着した」「彼は心臓発作のため死亡した」と語った。

 同元外相は、心臓や呼吸器系の障害、糖尿病など、長い間体調を崩しており、家族が釈放を求めていた。

 1983年に外相に、1991年に副首相に任命されたが、政策の決定に関してはほとんど力をふるうことはなかったとされている。

 しかし、議論では米国の当時の国務長官らと対等か、時にはそれをしのぎ、フセイン元大統領の声として同政権の中では海外で最も知られた人物だった。(c)AFP