スタジオジブリの皆々様,とりわけ鈴木敏夫さんへ
下記を聴いての感想です。
■【Podcast】2013/03/27 今年公開されるスタジオジブリの新作映画の魅力をたっぷりとお届けします!
http://podcasts.tfm.co.jp/podcasts/tokyo/rg/suzuki_vol258.mp3
まず,西村さんが,高畑さんのかぐや姫についてあれこれ喋られていましたが,
厳しく言えばプロデューサーとして掘り下げ不足と思います。
これまでの経験からも,高畑作品のほうが問題山積なのですから,
鈴木さんは宮崎作品よりも高畑作品のプロデューサーをされたほうがいいのでは
ないかと思います。
高畑さんが,かぐや姫について,
1.かぐや姫はなぜ月から地球にきたのか?
2.地球にいる3年半の間なにをしていたのか?
3.かぐや姫が月の世界で背負った罪と罰とはなにか?
という質問を自分で設定し,自分で回答する作品を作られているということで,
西村さんも納得されていましたが,まずは私なりに考えてみます。
1.地球から天体を見ても,太陽と月が大きく見えるために,人々は他の天体よりも
太陽と月に憧れを抱いてきました。そして,最初に月に行った。
月から他の天体を見たときに,地球だけが極めて大きい。
しかも地球にはさまざまな色があり,さまざまに移り行く景色を見ているうちに,
地球はどういうものか見てみたい,という願望は自然に出てくると思います。
さらに,月は地球に対し,同じ面が必ず地球のほうを向いているので,
その面の側にかぐや姫が住んでいたとすると,どうしても地球を意識せざるを
得なかったと思います。
2.かぐや姫は3ヶ月で赤ちゃんから成人女性になったのですから,
それは0歳から若くとも15歳ですよね。
そこから3年3ヶ月さらに地球にいたとすると,その14倍生きたことになります。
そうすると,15x14=210歳になってしまい,とっくに死んでいる計算です。
その間になにをしていたのかはよく分かりません。
強いて言うならば,地球について,月との違いを調査していた,でしょうか。
3.なぜ月で罪を背負うのか,よく分かりません。
原罪意識,というのが,キリスト教などにはあるようですが,
私にはそれがさっぱり分かりません。
ナウシカなんかでも,既に土は汚れているもの,として,原罪意識があるとも思えるのですが,
私は,原罪意識は変な気負いであると思います。
人間に原罪なんてない!と思います。
こじつけるならば,もともと月も地球のように緑豊かだったにもかかわらず,
人々が文明を誤った方向に持っていき,廃墟と化してしまった。
月から地球に来れるような高度な文明を持っているにもかかわらず。
それを,かぐや姫の原罪,とするのでしょうか?
いわば月は,地球の将来を暗示しているかもしれない存在,
というふうに取ることもできると思います。
けれどもそれは,あくまでそういう見方もできる,というだけであって,
高畑さんがどのような解釈を加えられたか分かりません。
が,高畑さんが西村さんを叱責されるのはおかしいと思います。
高畑さんは,西村さんに分かってもらえないのです。
ならば,どうやれば分かってもらえるかを詳細に検討し,その行動の一部始終すべてを,
一般人に向けて提示するべきと思います。
西村さんも,一般人に対してそういう提示が必要であると,高畑さんに言い返せなければ
いけないと思います。
高畑さんは,これまでも作品で非常にいいことを主張されて来たとは思うのですが,
それが一般人に理解されているとは言えない。
となりの山田くんの大惨敗などが,その証拠です。
自分はいい作品を作っているから,宣伝は知りません,ではやはりいけないと思います。
(いやもちろん,宣伝はプロデューサーのほうに,より責任があると思いますが。)
いちばんいいのは,作品が一般人の理解に耐えうるような,安易なレベルからはじめ,
人々の意識を低いところから掬い上げるような作品になることと思います。
それは,宮崎さんが非常に上手い。逆に高畑さんはあまりされていないと思います。
とはいえ,宮崎さんは低いところからちょっと上げられていて,
そんな高いところまで行っておらず,そこが高畑さんには気に食わないところとも思いますが。
高畑さんが,人々の意識を低いところから掬い上げることを拒否されるならば,その代わりに,
映画公開までに,一般人と映画との意識を繋げて橋渡しするような試みが必要と思います。
高畑さんのような大天才は,自分が正論を言っていれば,あとは人々が
そのレベルに達するかどうかだ,というように考えられるかも知れませんが,
世間一般人は,たとえばSNSのアクセスブロック設定を皆さんが安易に使ってしまうなどに
顕著に現れているように,カエサルの言う「見たいと欲する現実しか見ていない」のです。
その,見たいと欲する現実しか見ていない人々が,どのようにしてか,高畑作品を,
見たいと欲する状態までに持っていく,そここそが,じつは作品上で正論を主張する以上に
いちばん重要であり,あれこれ思案してみるべきところと思います。
ですから,高畑さんも,西村さんを論破できたらそれで終わり,ではなく,
見たいと欲する現実しか見ていない人々に対してどうやって説明するか,
そこの設計作業から,逃げないでいただきたいと思います。
ちなみに私は,かぐや姫の,赤ちゃんが3ヶ月で成人するという設定に非常に魅力を感じます。
3ヶ月というのは90日で,仮に成人を15歳とすれば,6日で1歳年をとる計算です。
その計算ですと,おむつも半月以内に取れるでしょうし,言語能力はみるみる発達するでしょう。
実際,そんなに早く言語能力がつくはずなどなく,かぐや姫は,月にて覚えた記憶を認知しながら,
カムフラージュのために,赤ちゃん言葉を喋っていたと考えるほうが妥当でしょう。
それでも,そんなに早く成人すれば,人々はかぐや姫を美人として求婚する以上に,
3ヶ月で突然成人したことを奇異の目で見て,結局宇宙人として忌避するのがオチと思います。
だからこそ,この3ヶ月のドキュメンタリー作品にするだけでも,
けっこう面白いものができるとも思います。
鈴木さんが仰っていた,差別にも通じるとも思います。
しかし,どうしていまさらかぐや姫なのか?
この問題は,いくら西村さんを論破できようが,つきまといます。
どうしていまさら「となりの山田くん」なのか?と思われて大惨敗した
前回の経験を十二分に活かして,大宣伝するしかないと,私は思います。
「かぐや姫の語られなかった真実に迫る」,というような感じで,以前話題になった
赤ずきんちゃんのような,グリム童話に秘められた真相,のようなアプローチで
宣伝するのがいいのかな,とも思います。
つぎに川上さん。
バルス!のtweetの例を出し,「なにもやる必要がない」と豪語されていましたが,
それはジブリ作品ではなく,あくまで宮崎駿作品に対しての人々の評価である,
というのを,しっかり認識していただきたいと思います。
コクリコ坂も,それほど成功はしていません。
とくに「かぐや姫」に対して,考えを改めて,大宣伝していただけるように
お願いしたいと思います。
奥田さんには,とくにコメントありません。
鈴木さん。
私は,鈴木さんには少々失望しています。
鈴木さんって,どうも,「この作品は,どういうカテゴリーに入る」というのを
納得したらそれで終わり,というスタンスが見え隠れするのです。
アバターに対してアメリカがどうのと言ってみたり,
今回宮崎駿の発言が旧約聖書にあったと言ってみたり。
映画ヲタクとか評論家は,そういう薀蓄を好みますが,現実を生きている私たちは,
どこから引用したかどうかではなく,それがいかにいまの私たちにとって有益かどうか,
評価軸はそれだけだと思うのです。
その原点に改めて帰ってもらいたい。
いくら旧約聖書だって,総理大臣だって天皇だって,ローマ法王だって国連事務総長が言ったって,
間違えたことを言うかも知れない。
だからこそ,評価軸は,言っていることが正しいかどうか,
その言葉を受けて自分がなにか行動に起こせるかどうか,それだけじゃないですか。
その上で,風立ちぬの3つのテーマは,個人的にはあまり惹かれない気がします。
「力を尽くして生きる」,なんて,私なんかずっとやってます。
懲戒解雇を受けてまでドイツ亡命,なんて,誰もやらなかったでしょう。
全力でやってます。
薄幸の少女なおことの出会いと別れ,なんて,メロドラマとしてはあり得ると思いながらも,
宮崎駿作品で観たいテーマとは到底思えません。
松任谷由実の「ひこうき雲」だって,薄幸の少女,というのを受け入れたら感銘を受けるかもですが,
薄幸の少女なんていまどき古臭い,というか,いまを生きることをメインに考えれば,
テーマとして外れている,ぜんぜん大した歌詞ではないと思います。
なんか,松任谷由実の「ひこうき雲」は,薄幸の少女に寄りすぎた詩で,
私はあまり好きではありません。
もっと,人生というものを謳歌して欲しい。
最近私が,これはいいな!と思ったのは,AKB48の「掌が語ること」です。
http://www.akb48.co.jp/darekanotameni/kashi.php
一般人は,AKB48ということでイロモノと思うかもですが,
私は,これは,「川の流れのように」に匹敵する名詩と思います。
とくに,”夢は いつも 一人で見始めるもの”というのがいい。
がんばっている人を応援する歌詞になっているのです。
ひこうき雲に,このように強く”刺さる”歌詞というのが入っていますか?
どうもジブリは,歌という意味においては,たいしていい歌詞,いい歌を出されていないと思います。
言っちゃ悪いですが,宮崎駿さんの歌詞には,魅力に思うものがひとつもありません。
私がジブリ作品の歌詞で感銘を受けたのは,
おもひでぽろぽろの「愛は花,君はその種子」と,ゲド戦記の「時の歌」しかありません。
http://j-lyric.net/artist/a000532/l015324.html
http://j-lyric.net/artist/a04c5be/l009cb6.html
カントリー・ロードもそれなりに好きなんですけれど。
まだまだ言いたいことがありますが,今日はこのへんで。
大西秀宜
http://onicchan.cocolog-nifty.com/blog/
最近のコメント