介護不足で移住促進「違和感覚える」と知事
民間有識者らでつくる「日本創成会議」が4日、神奈川県内を含む東京圏で医療・介護の施設や人材不足が深刻化するとして、高齢者の地方への移住促進などを提言した。
神奈川県の黒岩知事は「首都圏で連携すべき問題だということは共感する」と話す一方で、「医療や介護が充実しているからと、縁もゆかりもない地方に誘導する提言には違和感を覚える」と反発した。
提言は神奈川、千葉、埼玉の3県について、高度成長期に造成された団地の入居者や東京23区からの転入者の影響で都内以上に高齢化が進展すると指摘。神奈川県内は2025年に介護需要が今より48%(全国平均32%)増え、介護施設が約2万3000床不足するとした。
神奈川県も今春、県内の要介護・要支援認定者が15年度の35万人から25年度は53万人に増え、介護人材が2・5万人不足するとの見通しをまとめている。ただ、県高齢施設課は「住み慣れた地域で在宅のまま医療や介護が受けられる社会を目指す」としており、施設利用を前提とした推計には疑問を呈している。
知事は記者団に対し、「介護を必要としない健康な高齢者を増やす取り組みこそが大事。(病気になる前の段階である)未病から治すという県の政策が一番正しい方法だ」と主張。「県内には自然豊かなところもあり、どんどん住んでほしいと政策を進めているところだ」と反論した。
2015年06月05日 13時28分
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