香港=延与光貞
2015年6月5日22時50分
中国・北京で民主化を訴えた学生らが、武力で制圧された天安門事件から6月4日で26年がすぎた。香港中心部にある「六四(天安門事件)記念館」が犠牲者の遺品などの展示を新たに始めた。事件の記憶が薄れるなか、若い世代に真相を知ってほしいという願いが込められている。
「生者と死者」と題し、亡くなった2人の学生の家族が持っていた遺品や、当時の参加者が身につけていたものを展示。銃弾が貫通した赤いヘルメットは、高校生の王楠さん(当時19)がかぶっていた。働きながら夜学に通っていた呉向東さん(当時21)が家族や恋人にあてた遺書には「たとえ死んでも惜しくはない。これは民主、自由、国家の発展のためだからだ。きっとみんな僕のことを誇りに感じてくれると思う」などとつづられている。
このほか、女子学生を助けようとして軍用車両にひかれ、足を失った学生の写真や、当時の学生が着ていた服などもある。
中国政府が「学生らの動乱」と位置づける事件について再評価を求める声が根強い香港でも、事件を知らない世代が増えつつある。記念館を運営する香港市民支援愛国民主運動連合会の副主席で、事件当時、香港で支援運動をしていた蔡耀昌さん(47)は「事件の真相や民主に対する当時の学生たちの思いを、多くの若者たちに知ってほしい」と話している。(香港=延与光貞)
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