無慈悲なくーなな

□ 短編 □

その指先に祝福を与えよ-前篇【※R18】

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特に中身のない、2人がセッ、セッ…してるだけの突発短編のお話です。
先月、久遠の誕生日短編書こうかなと思いつつ2,3途中で放棄してたのを今頃書いたと言う…
いつも同じような話ばかり書いてる気がしますが(気のせいじゃない)それでも、懲りずにせっせと書いてしまうのでした^^;

厳密に言うと、久遠は七王に出会った当時もう既に20歳になっていたので、本当なら誕生日で21歳になるのでしょうが、そこはそれ。
相川久遠は永遠の20歳なのだー!と言うトンデモ設定で、今回書いておりますのでご了承の程、よろしくお願いします。
今回前篇なので、次で終わりです。

Happy birthday to me!
Happy birthday to me! / lauraflorcar


【 その指先に祝福を与えよ 】



―――20年。
日数にして7,305日、週にして1,043週と4日、月数にしてちょうど240ヶ月。

気が付けば、俺はいつの間にかそんな年月を生きてきた。
この世に生を受けてから、格別大層なことがあったわけではない。俺は相川家の次男として、家族仲睦まじく、極々平和で心休まる日々を重ねてきた。
それは俺にとってとても幸せで、貴重で、日々だ。

目を閉じて思い出の頁を紐解けば、容易に物心ついた頃からの家族との時が、鮮明に浮かびあがる。
心の、胸の時計に、両親や兄と弟の姿はいつも刻まれている。俺が重ねる日々に欠かせないもの。『相川久遠』に刻まれる、大事な全て。
愛してやまない、家族たちがいるだけで俺は本当に幸せなのだ。
もちろん、人の良い友人達に恵まれたことも含め、感謝している。
……世界はずっと変わらず、たまに苛立つことはあっても、それなりの自分なりのペースで、ずっと平和な日を送るのだと思っていた。
――だが、違った。


「……ん、ぅ……ッ、」

眼前にある存在がピクリと身動きして、その身を震わせる。無防備に白い喉元を横に反らして、細い指先が少し動く。ほのかに寝息を立てていた唇は、ふぅっと夜闇に吐息を滲ませた。

滑らかな白い肌と艶やかな黒髪は、夜目にもその美しさを損なうことはなく、むしろ闇の中で、なお一層情欲を煽る。夜の空に浮かぶ月のように、蠱惑的に見る者を捉えた。

「…七王さん……」

美味しそうな曲線の喉元に2,3度軽く唇で触れて、それからやんわりと肌を舌でねぶる。
舌先で甘い肌の感触を味わうと、胸がじん…と甘い疼きを覚えて、下肢に直結した。
もっと触れたくて、舐めるだけでは飽き足らず吸い上げると、歯先と唇に七王さんの肌を近く感じた。その感触が俺に言いようのない喜びを与える。
もっともっとと、強く吸い上げては、俺はまた身体のそこかしこに咲かせた赤い華の数を、新たに増やしていった。
――何度つけても足りない。いっそこの肌の白い部分を全て無くしても良いとさえ思う。自分のものだと言う証はいくつ増えてもかまわない。

そうして仕上げとばかりに、久遠は歯牙をその肌に鋭く突き立てる。

「…――っつ、痛ッ…!」

不意に眉根を寄せて、七王は大きく身じろぎした。
まどろみからゆっくりと瞳をまばたかせることなく、虹彩の奥にある黒は明確な輝きを宿した。

「…な、何…っ!?」

戸惑いがちな声が、かすれ気味に響く。透けるような白い肌に咲いた赤の彩りは、その間にも喉元を埋め尽くす。当分、首を出すような服は着れないだろうが、七王の露出を最低限に押さえておきたいと思っている久遠には願ったり叶ったりだ。肌を露出させるのは、自分の前だけで良い。

「っつん、ん、んぅ…ッ」

起き抜けの刺激に七王が耐え切れず、思わず左右に腰をよじって逃げを打とうとする。

「――やッ!ぁあッ…!」

途端、七王はびくりと電流が走ったように腰をしならせた。
たまらない衝撃が七王を駆け抜ける。腰を起点に動かしたことで、嫌でも強く現状を把握させられてしまった。

――入っている。奥に。相川久遠が。

その生々しい感触にまた上ずった声が出そうになり、七王は慌てて湧き出しそうな快感事、唇を噛みしめ押しとどめた。
動いた時に、感じる箇所をはからずも擦りあげてしまったのが、何とも言えない。そこからじわりと熱が燻って広がっていくようで、気を抜けばすぐにでも他に引火しそうだ。
起きた早々、はしたなく快感を拾うのはいくら何でも避けたかった。
いつでもどこでも、相川とならその気になれる自信はある、身体も抵抗なく開くことができる。それは事実ではあるが、一歩間違えば相川に節操がないか、まるで万年発情期のようにもしや思われるかもしれない。それは避けたかった。
そんな懸念は無用の不安で、久遠は欠片も思っていないというのに(むしろ感じやすい七王に、増々独占欲が湧いて愛しく思えて仕方なくなる)七王は何とかその場をやり過ごして平静を装うと努力していた。
因数分解の方程式を羅列しては組み立て、頭の中でひたすら唱えていく。強いて大きく息を吸い込み、ゆっくりと吐き出していった。
そんな落ち着きを取り戻そうとしている現状とは裏腹に、絡まった脚の間は熱を持ってきているのだから始末が悪い。

「ぁ、相川…」
「何ですか?七王さん」
「その…な、」

歯切れが悪く、七王は口元をもごもごと動かす。

きっと自分は何度も果ててはを繰り返し、最中に意識を失ったのだろう。最後の記憶は、波にもまれて途切れたまま定かではない。ただ、このゼロになった距離に相川は確かにいて、互いの体温が溶け合ったようにずっと繋がっていたことだけは記憶に新しい。
シーツは2人の温度を受け止めて、ぬくもりと情交の欠片が端々に沈み込んでいた。

どれくらい気を失っていたのだろう?
その答えは、自身の身体が教えてくれた。
奥深くが、たっぷりとぬるついている。
湿り気を帯びて欲液が粘膜に息づいている感触から察するに、そう時間は経っていないのだろう。

まさか相川も自分と同じように気絶し、この体制のまま寝ていたわけではあるまい。何しろ体力(精力とも言う…)は、普段から有り余るほどある彼だ。俺は身をもってそれを知っている。

七王は下半身をそれ以上動かさぬように努め、首だけをぎこちなく動かすと、改めて久遠に真正面から相対した。
暗闇に慣れてきた目が久遠の瞳を捕らえる。闇の中でも紛れることのない、深い光をたたえる瞳が、七王に何かを投げかけている。宵の影は、久遠の目鼻立ちに陰影を添え、その端正さを浮き彫りにさせていた。


「………?あの、相川…」

七王の胸がドクりと振動する。
無言で七王を見つめる久遠の表情からは、何も伺う事が出来ない。
どんなに肌を合わせても、相手の頭の中までは読み取ることはできなかった。
暗闇でこの体制で至近距離で、相手は微動だにしないのだから余計に戸惑う。
七王の足先が、きゅっと無意識に丸まった。

「あ…わりぃ、俺…いつの間にか寝ちまってたんだな…」

にっちもさっちもいかないこの状況を何とかしたくて、七王は躊躇いがちに言を紡ぎ、そろりと、あくまでも自然に腰を引こうとした。

「――あぁ…っッ!!」

しかしそれは叶わなかった。
久遠は引いた分の隙間を埋めるだけにとどまらず、腰を強く打ち付けてきたからだ。
ぐちゅ…ッと空気を含んだ粘液混じりの音が響き、衝撃で七王の背が跳ねる。

「―やっ、あぅッ、んう、あ、ァや…ッ、ひンぅ、」

突然久遠の好きなようにガクガクと揺さぶられて、七王は喉奥から余裕のない嬌声を上げる。
降ったばかりの雪のように白い肌はすぐに火照りを帯び、純白の光彩を薄桃色へと一変させた。

「ぁやっ、相川…!まっ、待…って……!」

七王は手を伸ばし懸命に制止の声を上げるも、その潤んだ声音はむしろ呼び水を与える意味しかなさず、久遠を増々煽るばかりだった。

揺さぶられる事にシーツの波間は深まり、熱を帯びていく。
七王は、はくはくと溺れないよう呼吸を求め、いつしか久遠の背中に爪を立てた。

そんな七王の口元に、久遠は遠慮なくかぶりつく。唇全体に覆いかぶさると、半ば捻じ込むように、舌も下肢も同じように粘膜をじっくりと擦り合わせた。
ぴちゃぴちゃと音を立てて歯列をなぞり、喉奥から舌裏、下顎の裏側をねっとりと舐め上げる。

「んっ、ふぅッ、ン、ンーッ」

角度を変えて、唾液事味わう度に、七王の苦しげにくぐもった声が合わさった隙間から響く。久遠は執拗に貪り付くした。
上も下の口も、久遠に犯されていっぱいになり、放たれた体液で溢れかえる。もはや七王には鼻呼吸をする余裕がなくなってきていた。たまらず、首をよじって逃れようとするが、すかさず頭を大きな掌で固定されて逃げ場を失う。

「んーっ!ぅ、んンッ…」

本格的に苦しくなり、七王の目尻からは涙がぽろぽろと伝い、身体が独りでに震える。
久遠の欲望を包んでいる柔肉も、同じように呼吸を求めてぱくぱくと開閉し、まるで哀願するように久遠にすがり付く。痙攣した内壁は、身を持って健気に久遠に現状を訴えていた。

「……ッ、」

限界でうっすらと目の前が白ばみ始めたその時――やっと、七王は久遠に解放された。
途端にどっと雪崩れ込む空気に、七王はやっと生きた心地に包まれる。
吸い込んでは上下する七王の胸が、久遠のたくましい胸筋に一層密着した。
七王の濡れた唇から、艶やかな赤い舌が零れていた。



《続く→》

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